拡大生産者責任

拡大生産者責任（EPR）とは

拡大生産者責任、通称EPRは、経済協力開発機構（OECD）が2001年にガイダンスマニュアルを策定することで、広く認識されるようになった環境政策の一つです。この概念は、製品のライフサイクル全体にわたる生産者の物理的・経済的な責任を、特に使用済み製品の段階にまで拡張することを目的としています。

EPRの特徴

EPRには、主に以下の二つの特徴があります。

1. 廃棄物処理の責任を生産者に移転
地方自治体が負担していた廃棄物処理の責任を生産者に移し、結果として生産者が自らの製品の処理について責任を持つよう促します。

2. 製品設計に環境配慮を反映
生産者が製品設計の段階から、使用済み製品の処理やリサイクルを考慮に入れることを推奨します。これにより、リサイクルが容易で廃棄処理が簡単な製品の開発に繋がります。

この政策により、社会的な廃棄物処理コストを軽減しつつ、生産者が環境に優しい製品を設計するインセンティブが生まれます。結果として、生産段階から廃棄段階に至るまで、製品システム全体の環境性能を向上させることが目指されています。

歴史的背景

EPRの概念は、1990年にスウェーデンのトーマス・リンクヴィスト博士によって提唱されました。その後、OECDが1994年からガイダンスマニュアルの策定に着手し、日本を含む多くの国の知見が活かされました。このマニュアルが発表された時期、日本でも様々なリサイクル法が設けられ、環境政策の重要性が高まっていきました。

2016年にはOECDのガイダンスマニュアルがアップデートされ、特に途上国におけるEPRの適用に関する新たな視点が加わりました。また、日本からは容器包装リサイクル法や家電リサイクル法に基づく情報が提供され、付録として挿入されています。廃棄物資源循環学会もこのアップデートに基づき、2018年には特集号を発行しています。

関連法令

EPRは循環型社会を目指す上での重要な枠組みであり、日本においては循環型社会形成推進基本法が関連法令として認識されています。また、排出者責任の考え方とともに、EPRは廃棄物処理における新しいアプローチを示しています。

さらに、OECDもEPRについての情報を提供しており、経済産業省やEICネットなど各機関もこの政策の普及に努めています。

結論

拡大生産者責任は、環境保護と持続可能な産業の実現に向けた重要な施策であり、生産者の責任を明確にすることで、より環境に配慮した製品の開発を促進するとともに、廃棄物処理にかかる社会的コストの削減を目指しています。今後のさらなる普及が期待されます。

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