拡張弾頭

拡張弾頭（ダムダム弾）について

拡張弾頭、および通称ダムダム弾は、撃ち出された際に着弾時の衝撃で形状が変わり、その直径が広がることを意図して設計された弾丸です。この弾頭は、ターゲットの身体内に留まることで、深刻で広範な傷を引き起こすことを狙っています。19世紀後半にイギリスで開発され、戦争における効果が評価されて軍に採用されました。しかし、1899年に開かれた万国平和会議では、その非人道性が問題視され、公式に国際的な戦争での使用が禁止されたことが有名です（ダムダム弾禁止宣言）。現在、この種の弾丸は戦争や紛争で禁止されていますが、狩猟や警察活動などではソフトポイント弾やホローポイント弾として広く使われています。

ダムダム弾の由来

ダムダム弾という名称は、当初英領インドのダムダム工廠に由来しています。この工廠は、イギリスの.303ブリティッシュ弾の設計が試みられた場所ですが、最初に開発された拡張弾頭は実際にはイギリス本国での製造が行われました。特にこの当時に製造された.303ブリティッシュ弾の拡張弾頭タイプに限り、その名が使用されます。また、国際的な法律では「人体において容易に展開し、又は扁平となる弾丸」と定義されています。

拡張弾頭の機能と用途

これらの弾丸は、着弾時にその直径が倍増することもあります。この特性により、標的の体内に弾丸が留まり、運動エネルギーがより効果的に伝達され、大きな裂傷が作られます。そのため、狩猟や法執行機関での使用が適しています。具体的には、これらの弾頭は貫通するリスクが低いため、近くにいる無関係な人を傷つける危険を軽減します。

また、拡張弾頭はその設計により、変形の仕組みや貫通力に影響を与えます。たとえば、中型や大型の獲物を狙う際には、弾丸は一定の貫通力を保持しつつ、適当な変形を遂げるよう設計されます。これにより、狩猟においては獲物を効果的に仕留めることが可能です。

歴史的背景

初期の弾丸は球状の純鉛製でしたが、ライフリングと無煙火薬の発明により、弾丸は長細い形状に進化しました。この変化によって、弾道が安定し、命中精度が向上しましたが、殺傷力が低下する傾向も見受けられました。そういった背景から、ダムダム工廠では最初にソフトポイント弾を設計しましたが、これは技術的な制約から広く採用されることがありませんでした。

ダムダム弾禁止宣言

1898年、ドイツはダムダム弾による負傷が軍事的に過剰だと抗議しました。この抗議を受け、1899年の万国平和会議で拡張弾頭の使用禁止が決まりました。この宣言は、国際的な武力紛争においてのみ有効であり、国内法での使用は明確に禁止されていない限り合法です。しかし、赤十字国際委員会はこの宣言があらゆる武力紛争に適用されるとの見解を示しています。

現在の利用法

今日においても、拡張弾頭は合法的に狩猟に使用され、動物の早急な仕留めを目的とした機能を活かしています。また、法執行機関も、被害者を安全に守るためにこの弾頭を選択することがあります。つまり、拡張弾頭はその非人道性が示された歴史の中でも、適切な用途の下で使用され続けています。

もう一度検索