拿捕

拿捕（だほ）の定義と法的枠組み

拿捕とは、政府の軍艦を含む船舶が商業船舶に対して乗組員を送るなどの手法を用いて、それらを政府の権力下に置く行為を指します。この概念は、海上警察による措置の一環としてとられるものと、武力紛争法に基づくものの二種類があります。特に、国際法においては、国連海洋法条約第73条などで規定されている事例がありますが、厳密にはarrest（逮捕）は、民事手続きに則った行為であるため、一般的な拿捕とは異なるとされています。また、日本においては「拿」の字が常用漢字に含まれていないため、報道などでは「だ捕」と表記されることが多いです。

海上警察における拿捕

沿岸国の権限は国際法によって定義されており、主に領海、排他的経済水域、公海に分かれています。

領海内での拿捕

領海においては、沿岸国は外国船舶による無害でない通航を防ぐために必要な措置を講じる権限が与えられています。国連海洋法条約第25条によれば、こうした必要な措置には大規模な裁量権が認められており、たとえば、外国船舶が沿岸国の法令に違反した場合には、追跡権を行使して拿捕が可能となります。

排他的経済水域での取り締まり

排他的経済水域においては、沿岸国は主権的権利を行使し、条約に従った法令の遵守を確保するための措置を講じることができます。国連海洋法条約第73条によると、ここでの措置は「法令遵守」に限られているため、領海で取れる措置よりも制限されています。

公海での制約

公海上では、基本的に船舶の旗国のみがその船舶に対する排他的な管轄権を持ちます。ただし、追跡権や臨検権といった一部の例外が存在します。特に、海賊船舶に対しては、どの国でも軍艦を通じて捕まえることが認められています。

武力紛争法に基づく拿捕

戦時国際法においては、交戦国が交戦海域で敵国や中立国の船舶やその貨物を捕獲することが可能です。この捕獲は、捕獲審検所での審査を経て、物品が没収されるか解放されるかが決まります。特に、戦時中に運輸される物資の中で戦争に使用できるものが「戦時禁制品」とみなされ、これを他国の交戦国が捕獲して没収することができます。

戦時禁制品と法的根拠

戦時禁制品に関する規定は、1856年のパリ宣言と1909年のロンドン宣言によって整備されてきました。これらの宣言は台湾を含むさまざまな国々によって署名されており、主に軍用資材や食料、燃料など、戦争に役立つ物品が該当します。

日本における拿捕の実例

日本では、太平洋戦争の開始直後の1941年12月、東京に高等捕獲審検所が設置された際に、横須賀および佐世保にも設置することが閣議決定されました。このように、拿捕にはそれぞれの法的な枠組みが存在し、国際法に基づく厳格なルールが適用されています。


このように、拿捕の行為は国際的な法制度の中で厳密に規定されており、国によって実施される権限は異なりますが、全体として国際社会の法的ルールに則ったものと理解されています。

もう一度検索