持世寺温泉

持世寺温泉の魅力

持世寺温泉（じせいじおんせん）は、山口県宇部市の自然豊かなエリアに位置する小さな温泉地です。この温泉は、単純放射能温泉とアルカリ性単純温泉の二つの泉質を誇り、豊かな効能を持つことで知られています。特に、ラドンを含む杉野湯は、その特殊な成分から健康促進が期待できるとされています。

泉質について

持世寺温泉には二つの主要な源泉があります。

• - 杉野湯: 単純放射能温泉に分類されるこの熱源は、ラドンの含有量が70.3×10⁻¹⁰ Ci/kgという特徴があります。源泉温度は26.7℃、PH値は8.1です。特筆すべきは「弱硫黄臭」と呼ばれる特徴的な香りで、温泉の利用者からはその香りが好まれているようです。
• - 上の湯: アルカリ性単純温泉にあたるこの熱源は、源泉温度39.7℃、PH値8.9を誇ります。こちらも「弱硫黄臭」とされ、他の多くの温泉とは一線を画した香りを持つため、訪れる人々には特別な体験を提供しています。

上の湯は、日本温泉遺産を守る会から温泉遺産に認定されていますが、2023年には老朽化と浸水被害を受け、営業再開の見通しが立たなくなりました。この為、上の湯の施設が取り壊されることが発表されましたが、泉源は維持される予定です。

温泉施設の特徴

持世寺温泉には、日帰り入浴ができる「杉野湯」と、かつて旅館であった「上の湯」という二つの施設が存在します。「杉野湯」は、共同浴場として利用されており、ゆったりとした時間を過ごせる場所です。一方、「上の湯」は歴史深い公衆浴場で、豆腐工房も併設されていましたが、新型コロナウイルスの影響で長期間休業状態にありました。2023年には、レジオネラ菌の検出や浸水被害が重なり、最終的には営業の再開が断念される事態となりました。

歴史的背景

持世寺温泉という名称は、かつて存在した寺院に由来し、地域の人々には古くから親しまれてきました。「杉野湯」の開湯は、杉野家の祖先が化け狐から泉源を教えられたと伝えられています。また、杉野家に伝承される享和2年（1802年）の資料によると、温泉は傷の治癒に役立ったという事例から人気が高まり、温泉場の設立が許可されたとされています。この温泉地の歴史は、古くから地域の治療や休暇地として機能してきた証でもあります。

一方、「上の湯」の発見は、地元の古老が厚東川で温かい砂地を見つけたことに端を発します。この泉源が戦国時代から存在したと言われていますが、現在の源泉は戦後に発見されたものです。

アクセス

アクセスの面では、JR山陽本線の厚東駅から徒歩で15分ほどで到着できるため、比較的便利です。また、バスを利用の場合は「持世寺温泉」で下車し、徒歩3分の距離です。

持世寺温泉は、その独自の泉質と歴史に裏打ちされた温泉文化が魅力的な場所です。訪れることで、温泉の効能を享受しながら、豊かな自然を満喫することができるでしょう。

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