持続化給付金

持続化給付金の概要とその影響

持続化給付金（じぞくかきゅうふきん）は、日本政府が新型コロナウイルス（COVID-19）による経済影響に対処するため、2020年に創設した経済支援の制度です。この制度では、中小企業には最大200万円、個人事業主などには最大100万円の現金が支給されました。具体的な支給条件には、事業収入の減少や事業の継続意思が求められます。

支給対象者の要件

持続化給付金の支給を受けるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります：
1. 事業継続の意思：2019年以前から事業を行い、事業を続ける意志があること。
2. 収入減少：2020年1月以降に、新型コロナの影響で前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること。
3. 資本金や従業員数の基準：フリーランスや資本金10億円未満、中小企業で従業員が2000人未満の場合、2020年の開業月から2020年3月までも含めて、月平均の事業収入が50%以上減少していること。

この施策には、2020年度予算から1兆1257億円の予備費のうち、80%以上が持続化給付金に充てられるなど大規模な措置がとられました。2021年度には給付金の規模が縮小され、一時支援金や月次支援金といった類似の施策が展開され、さらに2022年には「事業復活支援金」として新たに支援が行われました。

業務委託とその問題点

持続化給付金の業務は、サービスデザイン推進協議会に769億円で委託され、さらに電通に749億円で再委託されています。野党からは、この再委託により業務費が不適切に増加していると批判されており、中身が不明瞭な業務を委託する様子が問題視されています。実際、電通はさらに645億円で業務を5社に外注しており、そのための透明性が求められています。

不正受給の横行

持続化給付金制度は、その緊急性から事前審査が緩いため、給付金受給後の調査で多くの不正受給が発覚しました。具体的な不正受給の手口として、会社員や学生が申請可能であるといった虚偽情報が流れ、身体的・精神的な困難を抱える事業者も含めて多くの被害が発生しました。最初の大規模な摘発は、2020年8月に行われたもので、若者や学生が関与している事例が報じられました。

2022年5月には、家族グループが960件以上の不正申請を行い、約9億6000万円を不正に受給した事件が発生し、このグループは全国から1780人以上を集め、数十万円の報酬を得ていました。また、2022年6月には、現役の税務署職員が絡む不正受給の事例が取り上げられるなど、相次ぐ不正が社会問題となっています。これを受け、自首支援の動きも高まっており、法的リスクを回避するために多くの不正受給者が支援を求めています。

結論

持続化給付金は、コロナ禍において多くの事業者を支援する貴重な施策ですが、そのスピーディーな給付の反面、多くの不正受給問題も抱えています。今後は、徹底した監視体制と透明性の確保が求められると同時に、支援が本当に必要な事業者へ届くような制度の見直しや改善が必要です。

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