指南広義

『指南広義』について

『指南広義』（シナンコウギ）は、清代の著述家である程順則が1708年に自らの手で出版した航海に関する書籍です。この書は、琉球と福建の間を行き来する航海の方法を詳細に説明しており、特に琉球王国の海域における航路の重要性を示しています。

出版の背景

程順則は、自身の故郷である福建省においてこの書を執筆しました。発行の地は福州で、航路としては琉球の那覇との行き来に焦点を当てています。著者は、行動を通じて得た二つの主な情報源に依拠しました。一つは、久米村の古くから伝わる水先案内の航路、もう一つは清国の船長たちが提示した航行に関する情報です。

書籍の内容

『指南広義』には、単に針路を示すだけでなく、多岐にわたる情報が盛り込まれています。具体的には、天妃である媽祖の霊験に関する「天妃霊応記」、航行距離の計測方法を示す「更数の法」、風向きや季節に応じた航行の知識を記載した「風信考」、出発の日の吉凶を示す「行船通用吉日」などです。全体の構成は、中国における航海の指南書「海道針経」と類似しています。

尖閣航路書としての側面

『指南広義』は、特に尖閣航路に関する文献としても重要です。この航路は、歴代の琉球王府の役人たちによって水先案内が行われてきましたが、1683年に台湾侵掠の際、冊封使である汪楫が琉球に渡航する任務を帯びたことで、航路の支配を清国側が試みる事態が発生しました。この際、琉球の水先案内人と清側の船長との間で航路を巡る争いが起こり、福建人が主張する航路に従うことで台湾の戦場に近づく恐れがあるため、最終的には引き続き琉球パイロットがナビゲートすることとなりました。この事件が背後にあり、程順則は25年後、琉球側の航路の正当性を主張するために『指南広義』を刊行しました。

結論

『指南広義』は、航海技術や歴史に関する重要な資料となる一冊であり、程順則の先見性と努力の結晶です。この書を通じて、我々は当時の航海事情や文化的背景を深く理解することができます。現代においても、この書物は琉球と中国の関係、そしてその航海術の発展を知るための貴重な資料となっています。

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