程順則

程順則（てい じゅんそく）について

程順則は、1663年に久米に生まれた琉球王国の士族で、琉球名は「寵文」として知られています。彼の父、程泰祚は真和志間切古波蔵村の地頭職を務める士族でした。泰祚は那覇士族外間實房の次子であり、養子として久米村の程氏に受け継がれていました。血筋は唐人ではなく、琉球の文化に根ざしたものでしたが、彼の生涯は多くの文化的な交わりによって彩られました。

程順則の少年時代は、12歳の時に父を失った後、母の教育を受けて育ちました。15歳で元服し、21歳には通事として清国に渡る機会を得ました。彼は謝恩使として再度渡清し、福州で陳元輔の指導の下で程朱学や漢詩を学び、深い儒教の教養を身につけました。この学びから彼は「鴻儒」とも称され、後に琉球の文化と教育に多大な影響を与えています。

彼は尚貞王からの命を受けて、首里の位階や官制、服制を整理し、編纂する役割を果たしました。さらには尚貞王の世子、尚純とその世孫、尚益の侍講として、中城御殿での教育に従事しました。

程順則は、進貢使として何度も清国に赴く中で、1706年には福州で私費で刊行物を制作しました。この際、彼は過去に学んだ『六諭衍義』に序文と後書きを添えて再版し、さらに『指南広義』や『焚余稿』といった書籍も私費で刊行し、琉球に帰国しました。特に『指南広義』は、那覇と福州の間の尖閣航路に関するもので、琉球の航路の権利を主張するために重要な役割を果たしました。

1714年、程順則は徳川家継の将軍就任を祝う慶賀使として江戸に赴き、薩摩藩主の島津吉貴に『六諭衍義』を献上しました。この書籍は後に徳川吉宗に評価され、室鳩巣によって和訳されることになります。また、彼は江戸で研究者の新井白石とも意見交換を行い、白石はこの学びから『南島志』を著すに至ります。さらに、帰り道に京都で近衛家熙からの依頼を受けて、詩文を制作するなど、各地で活躍しました。

程順則の業績は教育分野にも及び、琉球で初めての公的教育機関である明倫堂の設立を提案しました。また、彼の著作は後に日本の各地の寺子屋で広まり、生徒たちに読み継がれることになります。彼の死後も、その教えや文化への貢献は評価され続け、琉球の歴史の中で重要な位置を占めています。彼の墓所は那覇市識名の識名霊園にあり、「程順則名護寵文之墓」の碑が建っています。

程順則は琉球の五偉人の一人にも数えられ、彼の教育に対する情熱と文化的な貢献は後の世代にまで影響を及ぼしています。

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