指名停止

指名停止とは

指名停止とは、国や地方自治体などが発注する公共事業や物品調達などの入札において、不正行為や重大な事故を起こした企業に対して、一定期間入札参加資格を停止する懲罰的な措置です。指名停止措置、または指名停止処分などと呼ばれることもあります。

指名停止となる理由

指名停止となる理由は様々ですが、主なものとして以下のものがあげられます。

競争の阻害: カルテル（談合）を結び、公正な競争を妨害した場合。
重大な事故: 死亡者を出すような重大な労働災害などを起こした場合。
不正行為: 贈賄、建設業法違反、虚偽記載など、不正または不誠実な行為があった場合。
法令違反: 独占禁止法違反行為、公契約関係競売等妨害または談合などがあった場合。

国土交通省では、上記のような措置要件について具体的な基準を設けています。

指名停止期間

指名停止期間は、不正行為や事故の程度に応じて発注者が決定します。数十日から数ヶ月程度の期間が一般的ですが、近年では重罰化を求める意見もあり、数年単位に引き上げる例も見られます。ある自治体で基準が引き上げられると、他の自治体も倣って厳罰化を進める傾向があります。

指名停止の効果

指名停止期間が数ヶ月単位になると、公共事業などの受注比率が高い業者ほど経営面への影響が大きくなります。経営難を理由に指名停止期間の短縮を求める業者も存在します。

実際に、指名停止が経営破綻の引き金になった事例もあります。中堅ゼネコンが、無許可で港湾工事を行ったことを理由に多くの自治体から指名停止を受け、資金繰りが悪化し破産申請に至りました。

ただし、指名停止中であっても、他社では代替品を製造できないなどの特別な理由がある場合には、指名停止が解除されるケースもあります。

指名停止という言葉の由来

2000年代前半まで一般的に行われていた指名競争入札では、発注者側が入札に参加する業者をあらかじめ指名していました。そのため、「指名」を停止する事自体が入札から締め出すという意味を持っていました。2000年代後半から一般競争入札が増加しましたが、現在でも一定以下の金額で指名競争入札が残っている場合が多く、指名停止という表現が用いられています。

関連法規

入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律（官製談合防止法）
建設業法
労働法
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律（独占禁止法）
* 刑法96条の3（談合罪）

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