指定弁護士 (テレビドラマ)

『指定弁護士』

『指定弁護士』は、2018年9月23日にテレビ朝日系列で放送されたスペシャルドラマです。特定の事件で検察が不起訴とした際に、検察審査会の議決によって裁判所の決定により指定された弁護士が、検察官の職務を代行して起訴・公判を行う「強制起訴制度」をテーマにしています。本作品では、不当な疑惑をかけられた元法務大臣に立ち向かうことになった一人の弁護士が、組織との軋轢や自身の葛藤を乗り越え、事件の真相を追い求める姿を描いています。女優の北川景子が初めて弁護士役を演じた主演作であり、骨太な社会派サスペンスとして話題となりました。

あらすじ

物語は、世間を騒がせる元法務大臣で衆議院議員の田金清造にまつわる疑惑から始まります。社会福祉法人への国有地売却における不当な払い下げや、法人の名誉顧問を務めていたことなどが発覚し、国民の激しい怒りの矛先となっていました。この状況を、京都の三塚法律事務所に所属する弁護士の一ツ木唯や所長、同僚の弁護士、そして唯の夫である法律事務アシスタントらが、ワイドショーの報道を通じて注視しています。

大阪地検特捜部が捜査に乗り出し、田金と彼の秘書は逮捕されますが、意外にも不起訴処分となります。この結果に、京都地検の検察官、橘真二らは複雑な思いを抱きます。そんな中、唯は京都弁護士会の神林京子弁護士から、驚くべき提案を受けます。それは、不起訴となったばかりの田金事件の指定弁護士を務めることでした。

指定弁護士を引き受ければ、弁護士としての評価が高まり、事務所のパートナー弁護士へ昇格する道が開けるかもしれないと考えた唯は、この依頼を受け入れます。しかし、これは彼女が所属する三塚法律事務所の保守的な方針に真っ向から反するものでした。事務所の方針に背いたことで、唯は所属事務所を離れることになりますが、強制起訴という困難な道を選んだことで、弁護士としての使命感や自らの生き方を深く見つめ直すことになります。

指定弁護士となった唯は、事件の真相を明らかにするため、検察官の橘真二と協力しながら捜査を進めていきます。当初、指定弁護士制度に懐疑的だった橘も、唯の情熱と行動力に触れる中で、自身の職務や正義について改めて問い直すことになります。様々な妨害や圧力に屈せず、唯と橘は力を合わせ、隠蔽された事実を追い、強大な相手に立ち向かっていきます。そして、法廷ではかつての上司である三塚所長と対峙することになり、唯は弁護士として、一人の人間として、厳しい試練に立ち向かうことになります。

登場人物

一ツ木 唯：三塚法律事務所の弁護士でしたが、指定弁護士を引き受けたことを機に事務所を辞め、自身の信念に基づき事件に立ち向かいます。演：北川景子。
橘 真二：京都地検の検察官。当初は指定弁護士に批判的でしたが、唯と捜査を進める中で心境が変化していきます。演：北村一輝。
一ツ木 隆司：唯の夫であり、法律事務アシスタント。唯とは異なり、出世よりも現在の生活に満足しています。演：えなりかずき。
安部 忠一：橘の検察事務官。官公庁での経験が豊富で、情報収集に長けています。演：生瀬勝久。
筧田 吾郎：唯が通うバーのマスター。唯の話を聞き、優しく見守ります。演：松重豊。
神林 京子：唯を指定弁護士に推した京都弁護士会の弁護士。演：羽田美智子。
白井 逸雄：京都地検特別刑事部の部長で、橘の上司。演：相島一之。
箭内 光太郎：三塚法律事務所の弁護士。唯に対しライバル心を抱いています。演：矢柴俊博。
津山 悟：田金を告発した京都市会議員。唯と橘を支援します。演：正名僕蔵。
田金 清造：物語の中心となる疑惑の元法務大臣。演：石橋蓮司。
三塚 文則：三塚法律事務所の所長。唯の元上司であり、後に法廷で対立します。演：中村梅雀。

スタッフ

脚本は、『相棒』シリーズや『科捜研の女』などを手掛ける櫻井武晴。
監督はテレビ朝日の竹園元が務め、プロデューサーも兼任しています。
テーマ曲は、fox capture planが担当しました。
* 制作はテレビ朝日と東映が行っています。

本作は、馴染みの薄い「指定弁護士」という制度に光を当て、その役割と意義を深く掘り下げています。組織の論理と個人の正義の間で揺れ動く登場人物たちの心理描写や、一筋縄ではいかない事件の展開が見どころです。

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