指輪物語 (映画)

1978年版アニメーション映画『指輪物語』の詳細

1978年に公開されたアメリカのアニメーション映画『指輪物語』（原題: The Lord of the Rings）は、J・R・R・トールキンによる同名のファンタジー小説を原作としています。ラルフ・バクシが監督を務め、ソウル・ゼインツのファンタジー・フィルムズが製作、ユナイテッド・アーティスツが配給を担当しました。

特徴的なロトスコープ技法

本作の最大の特徴は、全編にわたってロトスコープ技法が用いられたことです。この技法は、まず実写映像を撮影し、その映像を基にアニメーターが1コマずつトレースして作画を行うものです。これにより、実写に近いリアルな動きがアニメーションで表現される一方で、独特の雰囲気を醸し出しています。しかし、この手法は賛否両論を呼び、特にアニメーターからは、実写の拙さがアニメーションの質を損なうとの批判も多くありました。

物語の構成と補完

映画は原作の前半部分のみを映像化しており、物語の完結には至っていません。そのため、この映画で描かれなかった後半部分については、別のランキン・バス・プロダクションによるアニメーション作品『王の帰還』で一部が補完される形となりました。しかし、両作品は制作会社も手法も異なるため、一貫した物語として楽しむには違和感も残ります。

声の出演

本作には、さまざまな俳優が声優として参加しています。主要な登場人物に、クリストファー・ガーディン、ウィリアム・スチュアート、ジョン・ハートなどが声をあてています。しかし、日本語吹き替え版は存在せず、英語音声のみとなっています。

作品に対する評価

本作の評価は大きく分かれており、特にアニメーション監督の間では意見が対立しました。宮崎駿監督は、実写を基にしたロトスコープ技法の作品は失敗例が多いと指摘し、バクシ監督の作品を「元になる実写部分が拙劣では成功するはずがない」と酷評しました。また、手塚治虫が本作を傑作と評価したことに対しても「神経が理解できない」と批判しています。

一方で、手塚治虫は本作のロトスコープ技法に影響を受け、『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』を制作しました。しかし、このことに対しても宮崎駿は「（人件費の削減等で）アニメの製作現場を過酷な環境にした張本人が、また手間のかかるものを持ち込んで」と批判的な姿勢を示しました。このように、本作はアニメーション業界における技術論争の一端を担う作品でもありました。

作品の影響

『指輪物語』のアニメーション映画は、公開当時としては斬新な試みであったロトスコープ技法によって、アニメーション表現の可能性を広げた作品として評価する声もあります。また、その後のアニメーション作品に少なからず影響を与えたと考えられています。

関連情報

この映画は、ワーナー・ブラザースが版権を持っており、DVDやブルーレイで視聴が可能です。また、各種動画配信サービスでもデジタル配信されています。興味のある方は、下記の関連リンクを参照してください。

Warner Bros. | The Lord of the Rings: Animated | Movies（英語）
【ワーナー公式】映画（ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信） | ロード・オブ・ザ・リング　指輪物語（日本語）
指輪物語 - allcinema
指輪物語 - KINENOTE
The Lord of the Rings - オールムービー（英語）
The Lord of the Rings - IMDb（英語）

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