挙状

挙状（きょじょう）とは

挙状は、古代から中世にかけて日本で使用された推薦状のことを指します。中世には推挙状（または吹挙状とも呼ばれる）としても知られ、文書の内容や形式に変化が見られました。もともとは律令制の下で、官職の任用時における推薦状として役立っていましたが、時代が進むにつれ、推薦や紹介、取次ぎ、口入れなど、さまざまな場面で使用される文書へと広がっていきました。

挙状の役割

挙状は、その単なる文書以上の役割を果たしていました。中世の日本において、特に官職や特定の任務への就任を望む際、希望者は所属する主君や領主から挙状を授かることが通例でした。これは、法的行動を取るために必要な基本手続きであり、その際には社会的な地位や家柄も影響を与えることがありました。つまり、挙状は時として、実際の能力よりも社会的地位に基づいて発行されることが多かったのです。

挙状は、特定の能力を証明するために出されることもあったが、実際の運用では、推薦者の社会的な背景や人間関係がその影響を大きくしていました。そのため、推薦状を得ることが官職に就くための重要なステップとなり、時には特定の個人の行動にも影響を与えるものとされました。

書状のやり取りとその慣習

挙状は、上位者への直接的な申し入れがはばかられることが多かったため、推薦状の宛先は主君や領主ではなく、彼らの側近や奉行に向けられることが一般的でした。この間接的な方法によって、推薦を得ることが可能となり、その結果として適切な推薦状を手に入れることができました。

また、挙状の本来の用法からは外れますが、挙状の結果として官職に就くことが決まった際に、推挙した人物にその結果を知らせるための別の書状も存在しました。これを「官途推挙状」と呼びます。

具体的な法的規定と実例

『御成敗式目』第6条には、鎌倉幕府に対して荘園公領や神社仏寺の人々が訴訟を行う際に、本所の挙状が必要であると明記されています。また、庶民が訴訟を起こす場合には、地頭や地主の挙状が要求されるケースもありました。これにより、法的手続きの透明性と公正さが求められています。

さらに、御家人が官位を勝手に受けることを防ぐために、『御成敗式目』第39条では官位昇進のために挙状を求めることが禁じられました。これは、時代背景における社会的規範や権力の制限を示すものであり、挙状の役割とその重要性が強調されている一環といえます。

まとめ

このように挙状は、単なる推薦状にとどまらず、中世日本の社会構造、権力関係、法的手続きに深く結びついています。挙状の存在は、古代日本における制度と人々のつながりを映し出す重要な要素となっていました。

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