振別郡

振別郡の概要

振別郡（ふれべつぐん）は、かつて北海道の根室支庁に所在していた郡です。この郡は、択捉島の中央部に位置し、その西側は択捉郡、東側は紗那郡と隣接していました。振別郡の中心集落は振別と老門であり、特に振別は明治時代までは択捉島全体の中心地として知られていました。しかし、時ともに他の郡が発展するうちに、振別の地位は低下し、特に海軍飛行場が設置された天寧地区に移されたため、振別は人々の記憶から徐々に薄れていきました。最終的に、町村制度の改正によって振別郡はその所属する村が択捉郡の一部となった結果、消滅しました。

歴史的背景

郡設立以前の状況

振別郡域は江戸時代中期から松前藩の統治下に置かれていました。宝暦4年（1754年）には国後場所が開かれ、高田屋嘉兵衛によってエトロフ航路が運営され、その拠点として老門にエトロフ会所が設置されました。しかしその後、この会所は紗那に移転しました。

江戸時代後期には、択捉郡域が東蝦夷地に含まれることとなり、ロシアの南下政策に対抗するため、寛政11年（1799年）には振別郡域が天領とされ、南部藩と津軽藩に警固を命じました。翌年、振別郡域は国後から新たに分立した択捉場所に組み込まれました。近藤重蔵による記録によれば、当時の振別郡の人口は約120人で、7つの郷のうち1郷と2村（ラウシ）が存在していました。文化8年（1811年）には、東岸のオンネベツに新たに集落が形成されるなど、地域の発展も見受けられました。

振別郡の設立

1869年に明治政府により大宝律令を基にして振別郡が設置されました。その後、郡は幾度かの変更を経ながらも、明治時代から大正時代にかけて、振別郡は次第に中央から地方に位置づけされていきました。例えば、明治12年（1879年）には郡区町村編制法の施行により、振別郡が行政区画として正式に発足しました。

郡の消滅

振別郡は地域的な変化の中で次第にその重要性を失い、1923年には北海道二級町村制の施行によって振別村と老門村が択捉郡の留別村に組み込まれることとなり、同時に振別郡は正式に消滅しました。

人口の変遷

振別郡の人口について、多くの時代を通じて少数ながらも住民が住んでいました。明治26年には男性50人、女性52人の、合計102人が確認されていますが、大正9年には国勢調査において286人に増加しています。

振別郡はその歴史の中で、多くの時代的変遷を経てきましたが、最終的にはその名が歴史の中に埋もれてしまいました。地域の変化や社会的な背景を反映した滑らかな履歴を持つこの郡は、北海道の歴史と文化の中で重要な一角を占めていました。

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