振気流

振気流についての詳細

振気流（しんきりゅう）は、1860年代に隈元実道（円之進）によって創始された日本の武道流派です。この流派は、剣術と柔術の技法を融合させたもので、「隈元振気流」や「隈本流」とも呼ばれています。ここではその歴史と技術について詳述します。

歴史

隈元実道は1850年、薩摩藩の草牟田で生まれました。幼少期から剣術に親しみ、父親である隈元円右衛門実記から直心影流を学びました。その後、明治初年に山岡鉄舟から一刀正伝無刀流を学び、さらに一刀流や真影流、新心流なども習得しています。

柔術についても多岐にわたる流派を学んでおり、荒木流や関口流、神明殺活流などが含まれています。これらの経験を経て、隈元は警視庁に勤務し、台湾出兵や西南戦争に従軍した際には抜刀隊を指揮し、名を馳せました。

その後、氏は日本陸軍の憲兵少尉となり、戦場での経験から短柄剣術を提唱しました。この新しい武技は両手で刀を扱う従来の日本剣術とは異なり、片手で扱える形状を前提としたものでした。また、柔術においては「練體柔術」の形態を確立しました。

1888年、隈元は東京・赤坂氷川町に道場を開設しました。その後、1892年には道場が皇太子（後の大正天皇）を迎えたことを機に、「振気館」と名付け、自らの流派を「振気流」と称しました。1900年には天津に道場を開き、中国武術の研究にも着手しました。振気流はその後、陸軍における剣術の主流としての地位を確立しました。

技術

振気流の主な技術は、短柄剣術と練體柔術の二本柱です。

剣術

振気流の剣術体系は、3つの段階で構成されています。最初は「剣術基本演習」で、これは第一教から第二十三教まであります。次に「振気流剣法之形五本」と呼ばれる体系があり、ここには「矢筈切合」、「垂柳打込」、「常山之蛇」、「真剣相打」、「手心之鎬」の五つの形が含まれています。最後は、「古流十之形」として太い袋撓を使った演習があります。

練體柔術

練體柔術は初段から三十段までの伝承がありますが、特に六段から八段については1888年に久富鉄太郎が発行した「拳法図解」から採用されています。これらの技に対しては、振気流独自の「裏」と呼ばれる返し技が設けられています。

流儀の極意

振気流には「流旨五首」という和歌が伝わっており、それぞれの歌には長い解釈が付けられています。この詩は流派の理念や技術を深く理解するための重要な要素となっています。

結論

振気流は隈元実道の理念と技術が結集した独自の武道流派であり、日本の武道史において重要な役割を果たしました。その技術体系は現在も多くの武道家に学ばれ、実践されています。

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