排外主義

排外主義（はいがいしゅぎ）とは、特定の外国人や外国自体に対し、排除または拒絶の姿勢を示す考え方や立場を指します。この言葉は、異なる文化や背景を持つ人々に対して、受け入れず排斥する傾向を含意しています。排外主義は、特に社会的な緊張が高まる情勢や政治的な背景とも関連して現れることが多く、その影響は多岐にわたります。

排外主義に関する似たような概念には、ゼノフォビア（xenophobia）、ネイティビズム（nativism）、ショーヴィニズム（chauvinism）、ジンゴイズム（jingoism）などがあります。ゼノフォビアは外国人や異文化に対する恐怖心を強調し、ネイティビズムは自国民の優越性を訴える立場です。一方、ショーヴィニズムは愛国心が過剰になり、他国に対して攻撃的な態度を取ることを指します。ジンゴイズムは、国家や民族の名のもとに対外的な攻撃を正当化する思想を示しています。特にショーヴィニズムの語源は、19世紀のフランス軍人ニコラ・ショーヴァンに由来しており、彼がナポレオン・ボナパルトを崇拝していたことから、極端な愛国心の象徴とされています。

歴史的には、排外主義は19世紀から20世紀にかけて誕生した国民国家の形成とともに急激に拡大しました。国民国家が確立される過程で、多くの場合、少数派や異なる民族に対して排除の態度がとられ、虐殺や追放が行われました。特に悪名高いのは、ナチス・ドイツによるユダヤ人やロマ、スラブ人に対する弾圧であり、第二次世界大戦中においては、彼らに対する追放から最終的な絶滅政策にまで至ったことは衝撃的な歴史の一部です。

また、アメリカ合衆国においても、歴史的に清教徒がカトリック系メキシコ人を排斥したり、先住民に対する強制移住などの政策が実行されてきました。こうした動きは、排外主義と結びついた国家の枠組みの中で展開されてきたのです。特に日本においても、朝鮮半島での「朝鮮排華事件」など、歴史的に排外主義的行動が存在したことが指摘されています。作家の山川均は、抗日感情が高まる中で発生した多くの事件を通じて、排外主義が引き起こす暴力の危険性について警鐘を鳴らしています。

排外主義を主張する団体や政党は現在も存在し、日本では右翼団体をはじめ、国家社会主義に名を借りた組織などが活動しています。また、アメリカではクー・クラックス・クランが過去の象徴として残っており、ヨーロッパでは極右団体や政党が増加傾向にあります。国ごとに様々な名称の団体が存在し、それぞれの地域の状況に応じた排外的なスローガンや活動を展開しています。これらの動向は、現代社会での排外主義の理解を深めるうえで重要な要素となっています。ここ数年、反移民感情が高まる中で、排外主義は欧米を中心に再燃しているとも言われており、経済的な不安定要因や社会の分断が一因と考えられています。排外主義は今もなお、政治の場において重要な課題であり、その解決には多くの努力と時間が必要とされています。

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