朝鮮排華事件

朝鮮排華事件

朝鮮排華事件（ちょうせんはいかじけん）は、1931年7月3日から朝鮮半島で発生した、朝鮮人による中国人に対する襲撃事件を指します。この事件は、朝鮮内排華事件や単に朝鮮事件とも呼ばれ、万宝山事件に関係する一連の暴動として位置付けられています。リットン調査団による報告によれば、この事件において中国人が127名殺害されたとされています。

背景

当時、韓国統監府が設立されて間もない李氏朝鮮の時代、韓国内における華僑は3,361人いましたが、その後日本の統治のもとで華僑の数は急増し、1930年には67,794人に達しました。特に南満州においては、朝鮮人と中国人が共存していた地域で発生した緊張が事件の要因となりました。1930年、満州国における朝鮮人の水路建設が、中国人との合意なしに行われたことから、双方の間に対立が生じました。この対立は元々1909年に締結された条約にも起因しており、この条約は朝鮮人の土地利用を保障していましたが、中国人地主による一方的な行動が爆発の引き金となりました。

事件の経過

事件は1931年7月に顕在化しました。初めは平穏でしたが、7月3日未明に仁川で起こった軽微な暴力事件が引き金となり、朝鮮総督府は事態を重く見て警戒を強化しました。しかし、7月4日には暴動が拡大し、京城府外新堂里での衝突により朝鮮人一名と中国人一名が死傷。仁川では数千人の群衆が暴徒化し、警察に対抗して暴動を引き起こしました。

その後も暴動は続き、7月6日には警察官が発砲し、数名が死傷。平壌や仁川では、さらなる中国人住居が焼かれ、警察の数名も負傷しました。この混乱の中で、政府は警察官を増派し、地域の治安を保とうとしましたが、暴力の連鎖は制御できない状況でした。

影響

この事件は朝鮮半島内だけにとどまらず、日本国内でも在日朝鮮人による中国人襲撃事件を引き起こしました。7月9日には、日本側と中華民国との間で会談が行われ、日本が情勢鎮静に向けた努力をしているとの説明がなされました。しかし、事件の被害は広がりを見せ、朝鮮総督府から発表された死者数は100名以上に達しました。

また、同年7月15日には、事件を報じた朝鮮日報の支局長が襲撃され、混乱がさらに激化する場面も見られました。このような暴動や襲撃は、中国人に深刻な影響をもたらし、「朝鮮華僑慘案」として広く認知されることとなります。後に蔣介石はこの事件を全国に向けて発表し、中国と日本の関係にさらなる緊張をもたらしました。

結論

朝鮮排華事件は、朝鮮半島における民族間の緊張と、それに起因する暴力の象徴的な出来事であり、当時の国内外の政治情勢を反映していました。この事件を契機に、朝鮮と中国の関係には長期的な影響が及ぶこととなります。

もう一度検索