接吻 (2008年の映画)

映画『接吻』について

『接吻』（せっぷん）は、2008年3月8日に公開された日本のサスペンス映画で、監督は万田邦敏が務めています。この作品は、愛と孤独、そして危険な選択について探求する物語です。キャッチフレーズとして「この愛は理解されなくてもいい。やっとあなたという人にめぐりあえたのです」「究極の愛が行き着いた、衝撃の結末」という言葉が掲げられています。

ストーリーの概要

物語は、28歳の独身OL、遠藤京子（小池栄子）が主人公です。京子は人間関係を築くことが苦手で、同僚に押し付けられた仕事を一人で残業して終わらせる孤独な日々を送っています。ある晩、夕食後にテレビを見ていると、ニュース番組で一家の殺人事件の容疑者として逮捕された坂口秋生（豊川悦司）の笑顔を目にします。それを見た京子は、彼の無言の表情に心を奪われ、以降、坂口に関する情報を新聞や雑誌から集め、自らのノートに記録し始めます。

坂口は、国選弁護人の長谷川（仲村トオル）の前でも一切を語らず、沈黙を貫いています。京子もまた、坂口の初公判を見守りながら「彼の声が聞きたい」と思うようになり、長谷川に坂口への差し入れを求めます。長谷川は京子に心を引かれつつも、坂口に近づきすぎないようにと忠告しますが、京子は坂口との文通を始めます。

その後、京子と長谷川は坂口の兄に会いに群馬県を訪れ、坂口の過去について話を聞きます。彼らの帰路、京子は坂口と初めて接見することになり、そこで親密な時間を共有します。最終的に、坂口と京子は獄中で結婚することに決めます。しかし、坂口に一審で死刑判決が下されたとの報道を知った京子は、怒りを露わにします。

終幕と衝撃の展開

ある日、京子と長谷川は坂口が待つ面会室に向かいます。その途中、京子は長谷川にプレゼントを渡し、面会室で坂口に誕生日ケーキを差し出します。その時、坂口が蝋燭の火を吹き消す瞬間、京子は長谷川の鞄からプレゼントを抜き取ります。坂口との抱擁の中、京子は右手に持ったナイフで坂口を刺して致命傷を与え、坂口はその場で息を引き取ります。

直後、京子は長谷川にも襲いかかろうとしますが、唐突に彼と接吻を交わします。看守に取り押さえられながら連行される京子に対し、長谷川は「僕が弁護する」と叫びますが、京子は「私のことは放っといて」と冷たく返答します。

評価と受賞歴

本作は第23回高崎映画祭において最優秀作品賞を受賞し、2008年のヨコハマ映画祭では、万田邦敏と万田珠実が脚本賞を受賞しました。また、小池栄子は主演女優賞にも輝いています。さらに、小池は第63回毎日映画コンクールでも主演女優賞を受賞しました。

『接吻』は独特の世界観と深いテーマ性を持ち、観る者に強い印象を残す映画となっています。

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