推し

推し（おし）

概要

「推し」とは、日本のアイドルや俳優に対して用いられる言葉で、特に好感を持つ人物を指す俗語です。人に薦めたいほどに心惹かれる存在を意味し、ファン活動における重要な用語として現在広く使われています。特に近年では、推しがさまざまな形で社会現象や文化に影響を与えていることから、その存在はますます大きくなっています。

言葉の起源と歴史

「推し」という語の発祥は、1980年代に流行したアイドルブームにさかのぼります。当初は「推しメン」として、特定のアイドルメンバーを指し示していました。この言葉は、2000年代には2ちゃんねるの影響を受けて広まり、AKB48の影響で一般的な用語として定着しました。2011年には、新語・流行語大賞にもノミネートされるなど、その知名度は飛躍的に上がりました。その後、様々な辞典にも登録され、マスメディアが「推し」を広く定義したことで、いっそう普及が進みました。

用語とその構成

推しに関連する様々な派生語が存在し、ファンは自分の応援スタイルや対象に応じて使い分けています。例えば、「神推し」は特に熱心に推している人物を意味し、「箱推し」は特定のグループ全体を支持することを指します。また、推しを取り替える際に用いられる「推し変」や、推しに対する活動を指す「推し活」など、推しの概念から派生した言葉は多岐にわたります。

推し活とその文化

「推し活」は、推しに対するさまざまな活動を指し、応援の一環として自己充足感を得ることを目的としています。SNSを活用して推しの活躍を応援することが特に注目されており、2021年にはその言葉も流行語大賞にノミネートされました。女子学生を対象とした調査では、「推しがいる」と答えた人が圧倒的で、各年代の女性が可処分所得の一部を「推し活」に費やしていることがわかっています。

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響により、リアルなイベントが中止となり、推し活のスタイルも変化しました。この状況において、オンラインでの交流が推奨されるようになり、逆に新たな推しが生まれたとも言われています。調査によれば、特に20代の若者において、新たな推しができた割合が高まっていることがわかっています。

推しに関する作品や現象

「推し」は様々なメディアで題材となっており、小説や漫画、ドラマにもなっています。たとえば、宇佐見りんの小説「推し、燃ゆ」や、人気漫画「推しが武道館いってくれたら死ぬ」などがその一例です。また、推しをテーマにした音楽や広告文化も盛んであり、企業も推しを応援する姿勢をアピールする広告を出稿しています。

結論

「推し」という言葉は、アイドル文化やオタク文化だけでなく、現代社会における人のつながりや感情の表現としても重要な役割を果たしています。これからも推しを介した新たな文化や現象が生まれていくことでしょう。

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