推し、燃ゆ

「推し、燃ゆ」 - 宇佐見りんの長編小説

「推し、燃ゆ」は、宇佐見りんによる2作目の長編小説で、2020年7月に発表され、9月に河出書房新社から正式に出版されました。この作品は第164回芥川龍之介賞を受賞しており、受賞当時の21歳という若さは、歴代での受賞者の中でも特に注目に値します。これにより、宇佐見は綿矢りさや金原ひとみに次ぐ三番目の若さで芥川賞を手にしました。また、2023年には本屋大賞で9位を獲得し、人気を博しています。2023年7月の時点では、推定発行部数は80万部を超えています。

あらすじ

物語は、主人公のあかりが中心となります。あかりは、高校生であるものの、学校生活や家庭との関係に問題を抱えている女の子です。彼女にとって唯一の支えは、8歳年上の男性アイドルである真幸を応援することです。しかしある日の出来事がきっかけで、真幸がファンに対して暴力を振るうという騒動を起こし、その結果、あかりの生活は徐々に揺らいでいきます。アイドルへの期待と現実のギャップに苦しむあかりの姿を通じて、登場人物たちの人間模様が描かれます。

登場人物

• - あかり: 主人公の女子高生で、家庭や学校で満たされない心の内を抱えながら生活しています。
• - 上野真幸: あかりが心から応援するアイドルで、男女混合アイドルグループ「まざま座」のメンバー。彼の行動が物語の大きな転機をもたらします。
• - 成美: あかりの学校での親友であり、彼女の支えとなるキャラクターです。
• - あかりの家族: 母、父（海外単身赴任中）、姉のひかり、そして母方の祖母が登場します。特に祖母は、家族の海外赴任に対して強い思いを持つキャラクターです。

評価と受賞歴

本作は平野啓一郎により芥川賞の候補として評価されました。その際、彼は作品の熟達度を称賛しつつも、テーマには新鮮味が欠けているとの意見も示しています。オーディオブック版もリリースされ、2022年にはオーディオブック大賞で文芸部門準大賞を受賞しました。

書誌情報

「推し、燃ゆ」は、宇佐見りん著、河出書房新社から2020年9月11日に発売されています。ISBNは978-4-309-02916-0です。

宇佐見りんの「推し、燃ゆ」は、アイドル文化を背景にした若者の成長と葛藤の物語として、多くの読者の心をつかんでいます。彼女の作品は、現代の社会におけるアイドルの位置づけやファン心理を巧みに取り上げ、感情の揺れ動きを描写することで、共感を呼び起こします。

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