揖斐藩

揖斐藩の概要

揖斐藩（いびはん）は、岐阜県揖斐川町三輪にある揖斐城を中心に、江戸時代初期に成立した藩です。この藩は、豊臣政権時代に曽根城主だった西尾光教が関ヶ原の戦い後に加増を受け、揖斐城に移ってから始まりました。しかし、わずか数十年後の1623年には2代藩主が嗣子なく亡くなり、藩は廃藩となりました。

1. 揖斐藩の成立と背景

歴史の舞台は、豊臣秀吉の下で戦功を重ねた武将、西尾光教に遡ります。彼は斎藤家、織田家、そして豊臣家に仕官し、多くの戦で偉業を達成しました。天正16年（1588年）には曽根城に入り、ここで2万石を領有していました。

光教が揖斐藩の成立に至る大きな転機となったのが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いです。光教は徳川家康に従い、大坂から自身の領地に戻る道中、敵の妨害を振り切り、家康の本軍に先んじて清洲に到達しました。また、岐阜城の戦いでも先頭に立ち、敵と激しい戦闘を繰り広げました。この過程での戦功により、光教は領地を1万石から3万石へと増やすことに成功しました。

2. 城と町の発展

揖斐藩成立後、光教は揖斐城を中心に城下町の整備を進め、民の生活基盤を固める努力をしました。この時期に整備された街並みは、後の揖斐町の基礎となりました。藩内の発展は、なぜか気づけば短い期間の後に終わりを迎えるとは、多くの人が予期しなかったことでしょう。

3. 大坂の陣と光教の死

光教は、大坂の冬の陣と夏の陣においても軍に従事し、戦功を次々に上げました。1614年の冬の陣では、松平忠明のもとで着陣し、戦後には家康からの褒賞も受けました。夏の陣でも活躍し、特に道明寺の戦いでは多くの敵を討取る栄誉を得ました。しかし、こうした活躍の影で、光教は晩年に突如として世を去り、73歳で亡くなりました。彼には直系の子がいなかったため、外孫の西尾嘉教が跡を継ぐことになったのです。

4. 藩の短い歴史

光教の死後、嘉教は光教の遺志を受け継ぎ領地を継承しましたが、元和9年（1623年）には彼自身も34歳で急逝し、嘉教に子がいなかったため、揖斐藩はその歴史に幕を閉じることとなりました。揖斐藩は、わずか数代の藩主の手により短命に終わりましたが、歴史上の興味深い一幕として数多くの人々の記憶に残っています。これからも彼らの物語が語り継がれることでしょう。

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