道明寺の戦い

道明寺の戦い

道明寺の戦いは、江戸幕府と豊臣家との間で行われた大坂の陣の一部で、特に慶長20年（1615年）の大坂夏の陣において注目される戦いです。この戦闘は、豊臣方が大坂城から出て戦わなければならない状況に追い込まれている中で繰り広げられました。

大和方面の情勢

大坂冬の陣の影響で、大坂城は堀をすべて埋められてしまったため、豊臣軍は城内に留まることができませんでした。そこで、幕府軍は大坂城に向けて河内、大和、紀伊方面から攻め寄せました。大和方面の軍は水野勝成を大将とし、松平忠輝や伊達政宗らと共に合計34,300人の兵力を整えました。

5月1日、豊臣軍は大坂城を出発し、大和口から進撃する幕府軍をせん滅するために待ち構えました。後藤基次を先頭に、約6,400人の兵力で出陣し、後に真田信繁らを加えた総勢12,000人が続きます。5月5日、毛利と真田の連合軍は，天王寺に布陣し、翌朝に道明寺周辺で幕府軍に立ち向かう計画を立てました。

午前の戦闘

5月6日、午前0時に後藤基次の部隊は道明寺に到着しましたが、その際には後続部隊もおらず、幕府軍が国分に展開していることを認識します。作戦が破綻した後藤は、石川を渡り小松山に陣を構えました。

午前4時、後藤は幕府軍に対して攻撃を仕掛け、奥田忠次が戦死するなど激戦が展開されました。しかし、水野勝成らの援軍が到着し、幕府軍は小松山を包囲しました。後藤軍は何度も攻撃を行いましたが、負傷者が出始め、最終的には負けを認めざるを得ませんでした。正午頃には、後藤基次が戦死し、彼の部隊も壊滅しました。

午後の展開（誉田の戦い）

午後になると、前隊の残り部隊—薄田兼相、明石全登、山川賢信が道明寺に到着し、幕府軍に対抗しました。薄田は自ら指揮を執りましたが、戦死し、他の部隊は誉田方面に退却を余儀なくされました。さらに、毛利勝永ら後隊も道明寺に到着し、真田勢と合流しました。

伊達勢の片倉重長は、真田軍に向かって攻撃を仕掛けました。両軍はそれぞれの武器を使い合い、真田軍は伊達勢を押し込んで道明寺近くまで追い込みますが、片倉は藤井寺まで後退しました。その後、幕府軍は道明寺から誉田を拠点に攻撃を続け、豊臣軍は藤井寺方面に撤退する体制を整えました。

午後2時半頃には、大坂城から豊臣軍への敗北報告と撤退命令が伝えられ、豊臣軍は真田隊を殿軍として、順次天王寺方面へと撤退を開始することとなりました。

遅参の原因

豊臣軍が予定通りに行動できなかった原因としては、濃霧により出発時刻を誤ったこと、寄せ集めの部隊であったため行軍が遅れたこと、遅滞戦術が要因であったなど、いくつかの説があります。これらの要因が重なり、豊臣軍は大きな損害を受ける結果となったのです。

参考文献

• - 『戦況図録 大坂の陣』（新人物往来社 別冊歴史読本56）
• - 『激闘 大坂の陣』（学研 歴史群像シリーズ【戦国】セレクション）

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