揚子江気団

揚子江気団とは

揚子江気団は中国の揚子江流域に位置する高温で乾燥した気団です。熱帯大陸性気団に分類されることが多く、長江気団とも呼ばれています。日本では“揚子江気団”の名称が伝統的に広く使われていますが、気象庁は2007年以降、正式には「長江気団」と呼んでいます。この気団は、低圧部が大陸に形成される晩春から盛夏の時期には、日本にあまり影響を与えない特徴も持っています。

揚子江気団の形成と特徴

中国の華南および華中地域は、気象学上の中緯度高圧帯に位置するため、降水は集中しやすく、周辺地域に比べて乾燥した高温の状態が続くことが一般です。さらに、春から秋にかけては、モンスーンの影響によって、東西に広がる高気圧帯が発生します。このような背景から、揚子江気団は高温かつ乾燥した性質を持つことが特徴です。

この気団の起源には、シベリア気団が温暖化した結果とする考え方があります。しかし、揚子江気団は独立した気団ではなく、実際には他の気団の一部分と見なされています。

日本への影響

揚子江気団は、主に春と秋に日本付近を西から東へ移動し、移動性高気圧の一部として機能します。具体的には、シベリア高気圧が南下して日本列島に向かう際に、その影響を受けて動きます。これにより、晴れた日が続くことが多く、特に春にはさわやかな天気をもたらしますが、高気圧の間には低気圧も存在し、天候が変わりやすくなることもあります。

季節ごとの動き

春には、シベリア気団が南下してくる際に、揚子江気団が伴って移動性高気圧を形成します。このとき、からっとした晴天に恵まれることが多いです。夏になると、南シナ海からの小笠原気団が勢力を強化し、梅雨前線が形成されることで、揚子江気団は徐々に日本への影響が少なくなります。梅雨明け後に小笠原高気圧が日本列島を覆うと、再び安定した天候が続くことになるでしょう。

しかし、秋には小笠原気団が弱まる一方で、オホーツク海気団が強まり始めます。この2つの気団の間には秋雨前線が形成され、秋の長雨をもたらします。最終的にはこれらの前線が中国付近まで達することは少なく、10月頃には日本の南方にまで後退し、徐々に消滅していきます。

再び揚子江気団が関与するのは、冬に近づくにつれ、新たな移動性高気圧が形成される際です。大陸が冷え込むことで、シベリア気団の影響を受けることが多くなるため、揚子江気団の影響は翌春まで待つことになります。

まとめ

とりわけ揚子江気団は日本の気候に直接的な影響を及ぼすものではなく、他の主な気団とともに移動しながら、様々な天候をもたらす役割を担っています。今後も気象の状況に応じて、その動向から目が離せません。

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