揚屋 (遊廓)

揚屋の歴史と文化

揚屋（あげや）は、江戸時代における高級遊女を呼ぶための店として知られています。ここでは、太夫や天神、花魁といった上流遊女が客を迎え、贅沢な遊びが展開されました。太夫は最高の位に位置し、江戸吉原での花魁に相当します。揚屋の名称は、贅沢な遊びを象徴するものであり、茶屋よりも格上とされていました。

揚屋の起源と発展

揚屋の起源は、江戸時代初期にさかのぼります。この時期、街中に散在していた遊女屋が集められ、元吉原という公許の遊廓が形成されたのです。これにより、これまでのように遊女を外から呼び寄せることができなくなり、上流階級の客は遊廓に足を踏み入れる必要がありました。しかし、このことに疑問を持つ貴人たちがいたため、揚屋という新たな形態の遊び場が誕生しました。

揚屋での遊びの様式

揚屋には、上流の遊女しか招くことができず、低位の遊女は直接娼家に行く必要がありました。このため、揚屋での遊びは贅沢な体験として定義されるようになりました。特に太夫が客に招かれて揚屋に移動する様は、まるで大名の行列のように華やかでした。彼女たちは引舟と呼ばれる舟や、さまざまな従者を連れての移動が常で、これが揚屋への入店の格式も高めていました。

揚屋の中には、客が帰った後、遊女は留まらないことや、送迎の際には下男が素足で出ることなど、厳しいルールが存在しました。こうした慣例は元吉原から発展し、後には厳格な作法として定着しました。これにより、揚屋は贅沢さだけでなく、規則も伴う遊びの場と認識されるようになったのです。

揚屋のサービスと揚屋差紙

揚屋においては、客が特定の太夫を名指しで呼ぶ際に「揚屋差紙」と呼ばれる伝票が発行されました。これは客が希望する遊女の名前を記入したもので、遊女がいる妓楼に持たせ、そこから遊女が揚屋に送られました。この仕組みは、人気のある太夫には多くのリクエストが集中するため、事前に約束を交わす「兼約」と呼ばれる取り決めが必要とされました。

揚屋と茶屋の相違点

揚屋と茶屋の明確な違いは、宴会を催すための台所を持っているかどうかです。揚屋では、食事を台所で調理して提供できるのに対し、茶屋は料理を外注するため、料理の質や体験に差が出ます。揚屋は、現代の料亭文化の先駆けとも言える存在でした。

終わりに

揚屋は、江戸時代に特有の豪華な遊びの場であり、貴族たちの社交の場としても機能していました。しかし、時代の流れとともにその姿を変え、最終的には上方において明治時代の初めまで存在していました。その文化は、現代の遊びの形態にも影響を与えています。

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