摂津 (標的艦)

戦艦摂津の概要

摂津（せっつ）は、日本海軍に属する戦艦であり、名は旧国名の摂津国に由来しています。法令上は旧字体の「攝津」とされることもありますが、本記事では「摂津」と呼称します。摂津は、大正天皇と貞明皇后の御召艦としても活躍し、姉妹艦には「河内」があります。本艦は戦闘には参加していませんが、第一次世界大戦にはその一部として位置づけられています。1923年にはワシントン海軍軍縮条約に伴い、戦艦「陸奥」の代艦として標的艦へと転換されました。これにより、摂津は主に無人による操作で航行することとなりました。

艦歴と設計

摂津は、1909年1月に呉工廠で起工され、1911年3月に進水しました。その後、1912年7月に竣工し、同年、摂津国の住吉大社から神社の模型が寄贈されました。1914年には、大正天皇皇太子（後の昭和天皇）が搭乗する御召艦としても活躍しましたが、1918年には姉妹艦「河内」が爆沈する事故があり、艦隊状況は緊迫したものでした。

軍縮と標的艦への転換

1921年に開かれたワシントン海軍軍縮会議では、摂津が「陸奥」の代艦としての役割を持ち、最終的には標的艦に変更されることが決まりました。1923年に軍艦籍から除籍され、特務艦となった摂津には戦闘用の装備が全廃され、主に訓練目的での利用が進められました。皇后のお召艦としての役割も果たし、3月から江田島の海軍兵学校を訪問するなど、その存在意義が再確認されました。

標的艦としての活動

標的艦に転換された後の摂津は、特定の目標を曳航する任務を与えられました。数年後には予備艦となり、呉軍港で係留されることとなります。無人操縦に向けた研究も進められ、電動機と電池を用いたシステムが実装され、多くの訓練を行いました。1936年には無線操縦の爆撃標的艦への改造が行われ、1940年までにその防御力と操作機能が強化されました。

戦後の状況

第二次改造後も摂津は訓練艦としての役割を堅持し、豊富な運用データを提供しましたが、1945年の終戦時、アメリカ軍による空襲を受けて大破し、以降は海底で終戦を迎えました。1945年11月20日、正式に除籍され、摂津の歴史は幕を下ろします。この艦は、当時の日本海軍における戦艦としての重要な位置を占め、数々の出来事に関与してきました。

番外：無人操縦装置の原理

摂津の無人操縦装置は、特定の周波数の電波によって指示を受け、艦の進路や速度を操作する機構が備わっています。このシステムは36種類以上の指示が可能であり、特に訓練用に役立つものでした。訓練中の船員は、艦と駆逐艦間の移動を行いながら操艦するなど、特異な運用が行われていました。

戦艦摂津は、その変遷を通じて日本の艦船技術と海軍の戦略に貢献し、後の世代においても影響を与える存在であり続けました。

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