摩周丸 (初代)

摩周丸について

摩周丸（ましゅうまる）は、日本国有鉄道（国鉄）によって運航されていた車載客船で、青函航路において重要な役割を果たしました。この船は、戦争の影響で大きな損害を受けた青函連絡船の復興の一環として建造され、運輸省鉄道総局がGHQの許可を得て発注した4隻の車載客船のうちの一つです。同型には洞爺丸、羊蹄丸、大雪丸が存在しました。

建造の背景

1945年、青函連絡船はアメリカ軍による空襲の結果、壊滅的な被害を受けました。終戦時に動いていた船はわずかに3隻でしたが、戦後の混乱の中で旅客や貨物の需要が急増しました。そのため、関釜航路や稚泊航路からも船が応援に駆けつける状況が続きました。運輸省は、1946年にGHQから8隻の新造船の建造許可を取得、その一環として摩周丸は建造されました。

摩周丸は1946年12月に浦賀船渠で起工され、1948年7月31日に竣工、同年8月27日から青函航路に就航し始めました。また、竣工前にはGHQにより全商船に対する管理が行われ、摩周丸にも特有の標識番号が付与されました。

船の特徴

摩周丸の設計は、貯蔵スペースと旅客輸送能力を両立させることを目的としていました。基本的な構造は1924年に建造された翔鳳丸型を参考にしているものの、一部は戦時中の標準船設計を修整して反映されています。この結果、全長118.7m、総トン数は3,800トン級にまで拡大されました。

船内には旅客定員899名を確保し、さまざまな等級の客室が整備されました。また、車両甲板は二線式に設計され、実際にはワム換算での車両積載数は18両でしたが、後に19両に増えました。船室には上部遊歩甲板や、車両甲板下の雑居室など、効率的な配置が見られました。

安全対策と改良

摩周丸は、洞爺丸事件後に安全対策が強化されました。救命艇の搭載方式を改善し、全舷を水密化する工事が行われました。また、ボイラー室の改造や、補助発電機の設置など、航行中の安全性を向上させるための工事が行われました。このような改良により、船の運航能力は向上し、旅客からの信頼を集めました。

歴史の中での摩周丸

摩周丸は1948年から1964年にかけて、多くの旅客や貨物を青函間で運搬しました。1960年代には、ボイラーの変更や外舷の塗装変更も行われ、船体は常に最新の状態を保つよう努力されました。特に1964年には、他の新造船との競合が激化する中、摩周丸はその役目を終え、10月26日に終航を迎えました。

その後、摩周丸は民間に売却され、歴史の舞台から消えましたが、その存在は今も多くの人々に記憶されています。摩周丸は戦後の復興や国内輸送の重要な一翼を担った存在として、青函航路の発展に寄与したことは間違いありません。

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