撃沈

撃沈（げきちん）

概要

撃沈は、攻撃手段（砲撃、爆撃、雷撃等）によって艦船や船舶を沈没させる行為を示す軍事用語である。この用語は、主に戦闘に関連して使用される他動詞であり、例えば「敵艦を撃沈した」や「味方艦が撃沈された」といった形で用いられる。なお、軍事用語に慣れていない人の中には、誤って味方艦が沈没した場合にも「味方艦、撃沈」と表現することがあるが、その場合、適切には「味方艦が沈没した」と述べるべきである。

また、撃沈の様子を具体的に示す用語として、「轟沈」や「爆沈」が存在する。これらはそれぞれ沈没に至るまでの過程や状況を強調する表現であり、特に速報的な文脈では、味方艦の沈没状況を報告するために使われることがある。一般的に、第三者が戦闘の結果を報告する際には、損害を「撃沈」「沈没」のいずれかで表現することが許容されている。

轟沈

轟沈は艦船が敵の攻撃を受けた後、短時間以内に沈没した場合を指す専門用語である。例えば、日本海軍の基準によれば、この短時間は概ね1分を想定している。ただし、1分以上経過しても轟沈とされるケースも多い。著名な轟沈の事例としては、日露戦争中に日本海軍の戦艦初瀬がソ連の機雷によって1分10秒で沈没した例が挙げられる。

舊例として、第一次世界大戦のユトランド沖海戦でイギリス巡洋戦艦の弾火薬庫が爆発し瞬時に沈没した事例も「轟沈」に該当する。さらに、太平洋戦争中のアメリカ[[海軍]]の軽巡洋艦ジュノーにおいても、雷撃を受けた後に爆発し瞬時に沈没した現象が見られ、これも轟沈に当たる。

爆沈

一方、爆沈は艦船が被弾、被雷、または事故などにより搭載していた弾薬や燃料等が爆発し、即座に沈没する事態を指す。このような爆発によって艦船の浮力が失われるため、沈没に至る。歴史的には、日本海軍の戦艦三笠が港内で弾薬事故を起こし沈没した例などがある。

また、太平洋戦争における空母大鳳の沈没も、潜水艦からの魚雷攻撃が原因でその後の爆発に至ったケースとして知られている。これらの例は爆沈がどのように発生するかを示しており、それぞれの事例が持つ背景は様々である。

報道用語としての撃沈

撃沈という用語は、戦時中には自国軍が敵艦を沈没させる際の表現として頻繁に使用された。一方で、自国艦が沈没した場合には「沈没」「喪失」と控えめな言い回しが採用されたことが多い。このように、報道用語としての使用により、戦意を鼓舞する目的があったとされる。

俗語としての利用

近年、“撃沈”という言葉は日常会話においても使われることがある。特に、失敗や不合格などを指して用いられる場合、比喩的に「撃沈する」と表現され、非常に強い意味合いを持つようになっている。合成的に使われた場合には、酷い失敗や大きな敗北をも示唆する表現となることがある。

結論

撃沈という言葉は、軍事的文脈での艦船の沈没を示す重要な用語であり、轟沈や爆沈といった関連する語句によって、状況や状態が厳密に区別されている。これらの用語は、戦時中の情報報道や日常生活の比喩的な表現においても幅広く用いられており、その意味が時代と共に変わる時もある。

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