撃滅の歌

『撃滅の歌』

『撃滅の歌』は、1945年3月に公開された日本のドラマ映画で、戦時下における若者の葛藤や希望を描いています。本作は、佐々木康が監督を務め、多くの著名な俳優がキャストに名を連ねています。出演者には、高峰三枝子、轟夕起子、月丘夢路、藤原義江、増田順二、笠智衆がいるなど、日本映画界の第一線で活躍している面々が揃っています。

映画は、音楽学校を卒業した3人の女学生の物語を中心に展開されます。彼女たちは、各々異なる道を歩み始めますが、戦争という共通の運命が彼女たちを再び引き合わせます。時代背景を反映し、戦争の影響が彼女たちの人生にどのように作用するのかを描いています。

あらすじ

昭和14年度に音楽学校を卒業した千鶴、弓子、美穂の三人は、さまざまな人生を歩んでいます。千鶴はジャズミュージシャンとしての夢を追い求め、上海に渡ります。弓子は作曲家と結婚し、藤原歌劇団に参加。美穂は故郷で音楽教師として子供たちに歌を教えています。彼女たちの性格や進路は異なりますが、1941年12月の日本とアメリカの戦争勃発の日、長い間離れていた彼女たちは運命的に再会します。

イメージ映像は、音楽が持つ力とその可能性を示し、戦時下でも人々が持っている希望や夢に光を当てています。特に、挿入歌として使われる「米英撃滅の歌」は、当時の国策に従った作品として、観る者に強い印象を与えます。この楽曲は、1944年にレコードとしてリリースされ、戦意高揚を図るために広く流布されました。

ニュースリリースと評価

『撃滅の歌』は、公開に先立って1944年10月には新聞でその内容が予告され、期待が高まっていました。国策映画としての側面も強い本作では、音楽を通じた戦意の高揚を狙い、多くの人々に訴えかけることを目的としていました。

映画は、戦争に巻き込まれた若者たちの心の葛藤を繊細に描き出し、観客に深いメッセージを伝えています。音楽学校という共通の背景を持つ彼女たちが、どのようにしてそれぞれの道を選び、再会していくのかが大きな見どころとなっています。

キャスト

• - 高峰三枝子 - 桜井千鶴役
• - 轟夕起子 - 堀越弓子役
• - 月丘夢路 - 下田美穂役
• - 藤原義江 - 本人役（藤原歌劇団の指導者）
• - 増田順二 - 小牧役（作曲家、弓子の夫）
• - 笠智衆 - 河上耕造役

この作品は、戦争の悲惨さと共に、音楽の持つ力が如何にして人々の心を支え合うのかを考えさせる、一つの特異な映画として位置付けられています。

もう一度検索