撫台街洋楼

撫台街洋楼について

撫台街洋楼（ぶたいがいようろう）は、台湾の台北市中正区に所在する歴史的建造物です。この洋館は、北門の近くに位置し、日本統治時代の初期に建てられた民間店舗建築として、その歴史的な価値が認められています。台北市によって古跡に指定されており、その保存と活用が図られています。

「洋楼」とは洋館を意味し、撫台街は建設当時のこの地域一帯の名称に由来します。この建物は、日本統治時代のおそらく1910年頃に、合資会社高石組の社屋として竣工しました。高石組は、当時の台湾で活動していた建設会社であり、この洋楼は彼らの事業の中核を担う建物でした。

その後、この建物は所有者が変わり、1940年に設立された佐土原商事株式会社が所有することになったとされています。佐土原商事は酒造業および酒類の貿易を手掛けており、1941年の資料には佐土原商事株式会社の社名が確認できます。ただし、西日本新聞の報道によると、1930年代には既に佐土原商会の社屋となっていたとされています。いずれにしても、1940年頃には高石組の手を離れたと考えられています。

1945年の終戦後は、この建物は人民導報社の所有となり、その後、中華民国による接収、管理を経て、民間へと払い下げられました。払い下げ後は漢方医学の診療所として利用され、地域医療に貢献しました。

歴史的な価値が評価され、1997年には台北市の古跡として正式に認定されました。しかし、2000年（または2002年とする資料もあり）には、貰い火によって木造部分が焼失するという被害を受けました。その後、修復工事が行われ、2009年からは台北市の委託を受け、歴史資料館として新たな役割を担っています。現在では、一般に公開されており、地域の歴史や文化を学ぶ場として活用されています。

運営者は、かつての所有者である高石氏の関係者に、ぜひともこの場所を訪れてほしいと願っており、高石氏や高石組に関する資料があれば、日台交流の象徴として後世に伝えていきたいと考えています。その想いが実を結び、2010年7月には高石家の遺族が台湾に招待され、式典が開催されました。

建築の特徴としては、石材と木材を組み合わせたハイブリッドな構造が挙げられます。この建物の建設には、台北城の城壁を撤去した際に得られた石材が一部流用されており、歴史的な遺産を再利用する形で建てられたことも特筆すべき点です。

撫台街洋楼は、その歴史的な変遷を通じて、台湾と日本の交流を象徴する貴重な建造物であり、今後もその価値が伝えられていくことが期待されます。



外部リンク

* 撫台街洋楼 (futai1910) - Facebook （中国語）

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