擬宝珠

擬宝珠（ぎぼし）についての詳細

擬宝珠は、日本の伝統的な建築において重要な装飾要素であり、主に神社や寺院、そして橋の親柱に設置されています。見た目はネギの花に似ており、そのため「葱台（そうだい）」とも呼ばれることがあります。擬宝珠は親柱に飾られるもので、これを「宝珠柱」とも称します。

取り付け位置と材質

擬宝珠が装飾される場所は、主に両端や間隔を持って配置される親柱です。親柱が木製の場合、擬宝珠は一般的に銅や青銅といった金属で作られます。これにより、木材が雨水などによる腐食から保護されるという役割も果たします。一方、親柱が石であれば、擬宝珠も石で造られることがあります。また、珍しいケースとして、すべて木で作られたものや、古代の瓦製のものも存在しています。

また、擬宝珠と混同されやすい装飾として、五重塔や五輪塔の先端に見られる宝珠がありますが、これらは宝珠であり、擬宝珠とは異なるものです。

起源について

擬宝珠の起源は幾つかの説があります。一つは、仏教における宝珠がその元になっているというものです。宝珠は、釈迦の骨壺（舎利壺）の形や、龍神から出てきた珠であるとも言われ、地蔵菩薩などがその宝珠を手のひらに持つ姿が見受けられます。この宝珠を模して擬宝珠という名前が付けられたとも考えられています。

別の説では、特有の臭気を持つネギが魔除けとして利用された結果、擬宝珠が用いられるようになったとされています。この観点から、擬宝珠という用字は葱帽子や葱坊主に由来するとも言われ、橋や神社など仏教建築以外でも使用されることを説明しています。

歴史的背景

擬宝珠の古い記録は、中国の漢代の画像石や敦煌の壁画に見られ、日本では平城京跡の二条大橋の瓦製のものが挙げられています。神社においては、伊勢神宮正殿の高欄にある五色の宝珠型の飾りが原型とされ、元々は朝廷関係の建物にのみ存在したようです。

また、京都の三条大橋などでは、擬宝珠に由来を刻んだものが現在も残されており、天正年間に豊臣秀吉の命で改築された際のものとされています。江戸時代初期の盛岡の上の橋や下の橋にあるものも特徴的です。江戸市中では、日本橋、京橋、新橋の3つの橋で擬宝珠が用いられていました。

周囲の構造と名称

擬宝珠の構造は興味深く、先端の宝珠状の部分だけを指して「擬宝珠」と呼ぶことが多いです。さらに、下にはお椀を逆さまにしたような形をした「覆鉢」があり、その間をつなぐくびれた部分は「欠首」と呼ばれます。その下の円筒形部分は「胴」と名付けられています。

擬宝珠の形状は時代と共に変化しており、例えば「鎌倉型」では、頭の部分に比して直径が大きいものが見られます。特に宝珠部分の大きさは、時代と共に次第に大きくなっている傾向があります。

現代の意義

擬宝珠は、日本の伝統的な美意識や歴史的背景を反映した装飾であり、その存在は日本の文化の一端を示しています。建築物のデザインとしてだけでなく、信仰や民間信仰とも結びついている擬宝珠は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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