放射線管理手帳

放射線管理手帳とは

放射線管理手帳は、原子力発電所などの原子力施設で働く従業員に発行される手帳で、通称「放管手帳」とも呼ばれます。この手帳は、従業員の放射線被ばくに関する情報を一元的に管理し、安全な作業環境を確保するために重要な役割を果たします。

放射線管理手帳の目的

放射線管理手帳の主な目的は以下の2点です。

1. 被ばく線量の正確な把握: 従業員の過去の被ばく線量を迅速かつ正確に把握し、被ばく線量の累積を管理します。これにより、従業員の健康管理を適切に行うことができます。
2. 放射線管理情報の伝達: 原子力施設の運営者に対し、放射線管理区域内での作業に必要な情報を伝達します。これにより、作業者は安全に作業を行うことができ、施設運営者は適切な放射線管理を行うことができます。

放射線管理区域内で作業を行うためには、この手帳の所持が義務付けられています。

発行の経緯

放射線管理手帳の起源は、1955年頃に放射線を扱う大手メーカーが自主的に作成した手帳にあるとされています。その後、1970年代に入り、原子力発電所の建設が加速するにつれて、電力会社や他のメーカーも独自に同様の手帳を作成するようになりました。この状況を鑑み、1976年に放射線業務従事者の被ばく線量の一元管理に向けた検討が開始されました。

1977年11月には、財団法人放射線影響協会に放射線従事者中央登録センターが設置されました。このセンターは、原子炉等規制法に基づく放射線管理記録の引き渡し機関として、1978年1月に科学技術庁長官、同年12月に通商産業大臣からそれぞれ指定を受けました。そして、1979年4月から放射線管理手帳制度の運用が開始されました。

記載内容

放射線管理手帳には、以下の情報が記載されています。

顔写真: 本人確認のための顔写真が掲載されます。
中央登録番号: 放射線従事者中央登録センターが付与する登録番号です。
氏名: 従業員の氏名が記載されます。
生年月日: 従業員の生年月日が記載されます。
発行履歴: 手帳の発行履歴が記載されます。
異動履歴: 従業員の所属部署の異動履歴が記載されます。
被ばく履歴: 従業員の被ばく線量に関する履歴が記録されます。
電離放射線健康診断記録: 健康診断の結果が記載されます。
放射線防護教育履歴: 放射線防護に関する教育の受講履歴が記録されます。

参考文献

放射線管理手帳制度（放射線影響協会）

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