放送持株会社

放送持株会社（ほうそうもちかぶがいしゃ）について

放送持株会社は、放送免許を有する放送局を傘下に持つ純粋持株会社の形態を指します。これにより、持株会社制度を通じて、多くの放送局が経営の効率化や資金調達の能力を強化することが期待されています。

1. 概要

かつて、日本の放送局は、同一企業による放送局の集中支配を防ぐため、総務省によって「マスメディア集中排除原則」が定められていました。しかし、地上デジタル放送の導入に伴う高額な設備投資や、地方局の資金調達の困難さが問題視され、経営基盤を強化するために集中排除原則が緩和されました。これにより、放送事業者は持株会社制度を利用してより強固な経営ができるようになります。

具体的には、放送局は純粋持株会社の下で運営され、キー局や同一ネットワーク系列局を傘下に持つ形となります。また、従来の子会社や関連会社も新設される放送事業専業の子会社と同じ立場に置かれます。これにより、各局の運営と資本関係が見直され、より効率的な運営が可能となります。

さらに、言論の多様性を確保するために、特定の株主による影響を排除する方針も検討されています。具体的には、株主の株式保有比率を20%未満に制限し、資本関係による影響を最大限に抑制する動きが見られます。

2. 放送法の改正

放送持株会社に関する放送法の改正は、2007年に閣議決定され、2008年4月1日に施行されました。これにより、認定放送持株会社としての設立が認められました。新たに設立された持株会社に対しては、特定の株主からの保有比率が制限され、放送局の多様性や地域性を尊重しつつ、事業を展開することが求められています。

総務省の規定では、持株会社の傘下に入る地上波放送局の数は最大12局に制限されています。これは、放送局の地域的分布や放送の多様性を守るための措置です。また、放送エリアが重複する局を持つことは避けられており、地上波・BS・CS放送局の持ち合いについても規制が設けられています。

3. 各民放局の動向

放送持株会社制度の導入後、各地の放送局が持株会社制を採用し、自社の組織や運営を再編する動きが進んでいます。具体的には次のような変化が見られます。

フジ・メディア・ホールディングス

フジテレビは、2008年10月1日に持株会社制への移行を果たし、フジ・メディア・ホールディングスとして新たな組織体制がスタートしました。系列局の子会社化や資本関係の再編が行われ、より強い事業基盤を築くことを目指しています。

TBSホールディングス

東京放送も2009年に放送持株会社としての形態に移行しました。系列局との緊密な連携を促進し、資金調達の効率化を図ることで、事業の拡大を狙っています。

テレビ東京・日本テレビ

テレビ東京は2010年に持株会社制へと移行し、事業の分割を進めています。日本テレビも2012年に持株会社体制を採用し、事業運営をより効率的に補完する方法を模索しています。

中部日本放送・RKB[[毎日放送]]・MBSメディアホールディングス

これらの局もそれぞれ持株会社制度への移行を果たし、特に地域性を重視した運営に挑んでいます。それぞれの地域の環境に適した放送を行いながら、経営基盤を強化するための動きを見せています。

このように、放送持株会社制度は日本の放送業界へ大きな変革をもたらし、各局が経営の効率化や持続的成長を目指す上で重要な手段となることが期待されています。

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