放電破壊プリンター

放電破壊プリンター：特異な印字技術とその歴史

放電破壊プリンターは、その名の通り、電気放電を利用して印字を行うプリンターです。特殊な導電性紙に電気的な衝撃を与え、表面を破壊することで画像や文字を浮かび上がらせる独特の技術が用いられています。この方式では、インクなどの消耗品は不要です。

作動原理と特徴

このプリンターは、アルミニウムなどの導電性物質で処理された特殊な紙を使用します。この紙の表面には、着色層が隠されています。印字時には、この紙に電気放電が加えられ、表面が破壊されます。破壊された部分から下の着色層が現れ、文字や画像が形成されるのです。印字時には、オゾン特有の臭いが発生するのが特徴です。

放電破壊プリンターは、その構造のシンプルさから小型化と低コスト化が容易であり、また耐久性にも優れています。これらの利点を生かし、電卓やパソコン、FAXなど、さまざまな機器に搭載されてきました。感熱紙を使用するサーマルプリンターと機能は似ていますが、印字メカニズムは全く異なります。サーマルプリンターは熱によって感熱紙を着色させる一方、放電破壊プリンターは電気放電によって紙の表面を物理的に破壊します。静電記録方式のプリンターとも異なる点に注意が必要です。静電記録方式は、イオン流を用いて静電気を利用した印字方式です。

歴史と現在

放電破壊プリンターは、FAXが実用化された昭和初期から大量生産されており、非常に歴史の古い技術です。そのシンプルさと経済性から、感熱紙を用いるサーマルプリンターが登場した後も、長年に渡って広く使用されてきました。1981年にはカシオFP-10プリンターなど、比較的新しいモデルも開発されています。現在でも、このプリンター専用の用紙を生産しているメーカーが存在するほど、その技術は根強く残っています。

まとめ

放電破壊プリンターは、インク不要、小型軽量、低コスト、耐久性が高いといった多くの利点を備えた、独特の印字技術を用いたプリンターです。オゾン臭を発生させるという特徴も持ち、感熱紙プリンターと混同されがちですが、印字メカニズムは全く異なります。長年にわたる使用実績を持ち、現在でもその専用の用紙が生産されていることから、その技術の確固たる地位が伺えます。シンプルながらも革新的なこの技術は、プリンターの歴史において重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。

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