放香堂

株式会社放香堂：歴史と伝統を誇る老舗茶商

株式会社放香堂は、京都府相楽郡和束町に自社茶園を所有する、歴史ある茶商です。兵庫県神戸市中央区元町に小売店舗を構え、日本茶の栽培から販売までを一貫して行っています。その歴史は天保年間(1830～1843年)にまで遡り、創業者である東源兵衛が京都山城宇治和束郷で茶農家として創業したことに始まります。

エドから神戸へ、そして世界へ

当初は宇治茶を江戸（現在の東京都）へ卸していましたが、事業は拡大を続けました。安政5年(1858年)には松平家の御茶御用商人となり、「放香堂」の屋号を賜ります。そして、神戸港開港時には日本茶の輸出商館を設立し、インドや東南アジアなどへ茶を輸出するなど、グローバルな展開も開始しました。

日本初の喫茶店

明治7年(1874年)には、神戸市中央区元町通りに宇治茶、コーヒー、紅茶、九谷焼などを販売する店舗を開設しました。この店舗は、同時に郵便物の取扱も行っていたようです。注目すべきは、明治11年(1878年)に発行された読売新聞に掲載された広告です。「焦製飲料コフィ―：弊店にて御飲用或は粉にて御求共に御自由」という文言から、放香堂が日本で最初の喫茶店であったことがわかります。この歴史的事実は、カタカナ語辞典（三省堂）にも掲載されています。

伝統と革新の融合

明治13年(1880年)に貿易業務を休止した後も、日本茶、コーヒー、紅茶の専門店として、宇治茶の製造・小売に注力しました。昭和25年(1950年)には合名会社、昭和39年(1964年)には株式会社へと組織変更を行い、現在に至ります。平成27年(2015年)には、日本で最初の喫茶店としての営業を再開。歴史と伝統を大切にしつつ、現代のニーズにも対応する姿勢を示しています。

最高峰の茶師

放香堂の茶師である酢田恭行氏は、日本茶の品種や産地を判定する「茶審査技術」において、最高位の十段の称号を取得しています。60年以上の歴史の中で、この称号を得たのは13人しかいないとされ、その高い技術力と品質へのこだわりが、放香堂の茶葉の品質の高さを支えています。

現在

現在も、放香堂は、自社茶園で丁寧に育てられた茶葉を使用した、高品質な日本茶を提供し続けています。大手百貨店や通信販売会社などにも卸しており、その品質は広く認められています。歴史と伝統、そして革新を融合させた放香堂は、これからも日本茶業界をリードしていく存在であり続けるでしょう。その歴史と伝統、そして高い品質へのこだわりが、多くの人々を魅了し続けています。

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