政治倫理審査会

政治倫理審査会（せいじりんりしんさかい）について

政治倫理審査会（政倫審）は、日本の国会において政治家の倫理を審査するために設けられた委員会的な組織です。1985年の設置以来、日本の政治倫理の確立を目指しています。これについて詳しく見ていきましょう。

設立の背景

1983年、元首相の田中角栄がロッキード事件で有罪判決を受けたことが政治倫理審査会設置の大きな転機となりました。この出来事を経て、野党は田中に対する議員辞職の勧告決議を求め、国会は混乱しました。このような状況を受け、政治倫理を確立することが急務とされ、与党と野党による協議が行われました。その結果、1985年に国会法が改正され、衆議院と参議院それぞれに「政治倫理綱領」や「行為規範」、「政治倫理審査会規程」が採決され、政治倫理審査会が設置されました。

審査会の機能と運用

設置当初、政治倫理審査会は開かれることがありませんでしたが、1992年に「政治倫理審査会規程」が改正されたことで、疑惑を受けた議員本人の申し出により審査会を開くことが可能となりました。最初に開催されたのは1996年で、これは加藤紘一に関連する問題でした。

審査会の開会は、委員の3分の1以上が申し立て、出席委員の過半数が賛成した場合、または、不当な疑惑を受けた議員が申し出た場合に行われます。審査対象の議員は出席を拒否できるため、2009年には鳩山由紀夫が欠席した事例もあります。

審査会は「行為規範」などに明確に違反し、道義的責任が認められた場合、委員の3分の2以上の賛成により、登院自粛や国会役職辞任を勧告することができますが、議員辞職の勧告に関する規定は存在しません。また、実際に勧告が行われた事例は一度もありません。

公開性と傍聴

「政治倫理審査会規程」では、審査会は原則として非公開とされていますが、議員からの要請があれば公開されることもあります。このため、一部の国会議員や報道陣が傍聴することもありました。審査の終了後には概要や結果が記載された報告書が議長に提出されます。

委員会でのやり取りが公開制限されているため、審査を受ける議員にとっては、証人喚問や公開の参考人招致と比較して「負担が軽い」と見なされることがあります。さらに、議員自身が開催を申し出ることもできるため、説明責任を果たす手段としても機能しています。

審査会の場とその他の設置

審査会が開催される場所は、過去には第一委員室や議院の議長応接室（「議長サロン」）などが利用されてきました。また、地方議会にも政治倫理条例に基づく政治倫理審査会が設置されており、自由民主党内にも同名の審査会が存在します。

結論

政治倫理審査会は、日本の政治の透明性や倫理を維持するための重要な機関であり、その運営や活動は政治の動向に大きな影響を及ぼす可能性があります。今後もその機能や役割が注目されることでしょう。

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