救世主ハリストス大聖堂

救世主ハリストス大聖堂

救世主ハリストス大聖堂は、ロシアの首都モスクワにある重要な正教会の聖堂であり、その壮大な建築と豊かな歴史が特徴です。聖堂は、モスクワ河畔に位置し、その高さは103メートルを誇ります。この高さは、教会のドームと十字架が35メートルを占めており、世界の正教会の大聖堂の中では3番目に位置しています。

歴史的には、1883年6月7日に正式に成聖されましたが、1931年にはソ連による宗教弾圧の影響で爆破されました。その後1990年代に入ってから再建が進められ、2000年には見事に復元されました。

名称の由来

「ハリストス」は、現代ギリシャ語およびロシア語における「キリスト」の表現が転写されたものであり、日本の正教会関係の文献や資料ではこの名称が尊重されています。実際のロシア語表記は「Христос」であり、聖堂の正式名称は「救世主ハリストス大聖堂」とされています。

建設の過程

大聖堂の建立は1812年にロシア皇帝アレクサンドル1世により決定され、ナポレオン戦争の勝利を記念するために設計が始まりました。当初は新古典主義的なデザインが予定されていましたが、工事の一時中断を経て、1839年にコンスタンチン・トーンの指導の下、現在の形へと再設計されました。この新しい計画では、ビザンティン建築のスタイルが取り入れられ、モスクワの重要な教会建築にインスパイアを受けています。

内部装飾には、当時のロシアの著名な芸術家たちによって描かれたフレスコ画や彫刻が施され、特に内部空間の大きさと美しさが際立っています。完成までにはおよそ44年がかかり、1883年の昇天祭に成聖されました。このように、歴史的かつ文化的に重要な施設としての地位を確立しました。

ソ連時代の弾圧と爆破

しかし、1917年のロシア革命後、教会は激しい弾圧を受けます。特にソビエト政権下において、無神論を標榜する政府にとって、正教会は大変な脅威となりました。結果、1931年に大聖堂は爆破され、その後はソビエト大宮殿の構想が浮上しますが、建設は中止され、その跡地に市営プールが建設されました。

再建の取り組み

1980年代末、ゴルバチョフ政権によってペレストロイカが始まると、宗教に対する政府の姿勢も緩和され、救世主ハリストス大聖堂の再建活動が再び始まりました。1990年、再建の祝福と許可が正式に行われ、1994年には復元プロジェクトが本格化しました。1995年には、礎石の儀式が行われ、再建計画が現実のものとなっていきました。

1997年には完成した壁の成聖がなされ、1996年からは継続的に奉神礼が行われています。そして、2000年の主の顕栄祭には大聖堂全体の成聖式が行われました。これにより、大聖堂は再び信仰の象徴として機能しています。

アクセスと周辺の情報

最寄りの交通アクセスは、モスクワ地下鉄1号線のクロポトキンスカヤ駅であり、この駅は大聖堂近くの重要な交通手段となっています。また、周辺には多くの歴史的建造物が点在しており、観光客にとって見逃せないスポットです。

このように、救世主ハリストス大聖堂は、歴史、文化、宗教的意義が交錯する場所として、多くの人々に愛され続けています。

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