救世主ラッキョウ

救世主ラッキョウ（メシヤラッキョウ）

小林よしのりによる日本の漫画作品。『東大一直線』に次ぐ2本目の連載作品で、新興宗教をテーマにしたギャグ漫画です。

『月刊少年ジャンプ』（集英社）で1978年4月号から1979年8月号まで連載。後に『月刊コロコロコミック』（小学館）にてリメイク版も連載されました。

旧作概要

読切作品の掲載後、読者の反応を見て連載化に至った作品です。作者である小林よしのりは、『ゴーマニズム宣言』で真言密教を背景に宗教への造詣が深いことを明らかにしていますが、当時は語る機会がないまま作品を発表していました。

第1話掲載時から読者からの入信希望が殺到し、連載開始と同時に会員制を敷くことになりました。会員が急増し会員証の印刷代が小林の原稿料を上回ったため、『月刊少年ジャンプ』編集部が印刷・発送を担当することに。しかし、名簿管理までは手が回らず、小林の地元福岡の女子高生会員が担当することになりました。

連載・布教とも順調に進んでいましたが、発送用のハガキを渡した後、彼女たちが小林をストーカーするようになり、嫌気がさした小林は連載を打ち切ることを宣言。最終回は「楽狂が楽の神の元へ帰る」というストーリーで締めくくられました。

楽教

格式ばった言い回しでは楽教、くだけた表現ではラッ教と書き、作中では楽狂、現実世界では小林よしのりこと小林会長が教祖です。

開教のきっかけは小林が「漫画で新興宗教をやってみたら?」と思ったこと、そして「締切に追われ、昭和の巌窟王となり、もっと楽せにゃ損やな」という本音からでした。楽狂によると「苦行なんか苦しくてつまらん。もっと楽に生きたい」という思想が「楽の思想」と定義されています。

名前などを付ける場合、“楽”を入れるのが良いとされ、仏壇はラツ壇、寺院は楽社と呼ばれます。

宗教用語

題目：「ヒヤシチュー、ヒヤシチュー、ヒヤシチュー、レーメン!」。冷やし中華と冷麺が由来。
冷やし中華：楽教徒にとって聖なる存在その1。レーメンと略す。ラッキョを入れてもらう事は名誉とされる。
ラッキョウ：楽教徒にとって聖なる存在その2。ラッキョと略す。コマの周囲を囲んだり、敵に投げつける演出が多い。
ラッキョ語：福岡本部で発祥した言葉遊び。文章を拝啓や草々のような単語で挟む。
ラッキョウサイン：親指と人差し指でラッキョウ型を作るポーズ。

登場人物

読切と連載では絵や設定に違いがあります。

中華楽狂：楽の思想を広めるために神様・仏様・キリスト様から力を受けて誕生した。脳天に毛筆状の頭髪が生えている。
野上俊介：楽狂に対する不信感を持つ。楽狂のアホ行為に対するツッコミ役。
石松由多：鼻の穴がワニのように巨大で不細工な事にコンプレックスを持つ。入信後は熱心な楽教徒となる。
越為夫：暴力団・越組の組長の息子。ヤクザの世界に虚しさを感じて入信。
悲劇涙子：空気嚥下症という架空の病気にかかっている。初の女性信者。
本田裸助子：ドブス女。ある集団のスパイ。

その他

本作の発想は「冷やし中華にラッキョウを入れたらうまかったから」。
小林の漫画は落書きやお遊びの作画が多い。
『おぼっちゃまくん』でよく使われた茶魔語には「さいならっきょ」がある。

新作

『コロコロコミック』で連載されたリメイク版。旧作とは設定が一新されています。

飯屋楽教：主人公。お寺と教会の間の飯屋で生まれたと自称する。
楽教の両親：飯屋を経営し、息子を神の生まれ変わりと思っている。
甘江信二郎：楽教に付き合う事になってしまう少年。
月野ひかり：楽教の幼馴染。

もう一度検索