救済史

救済史：創造から救済への神の計画

救済史とは、神の計画に基づき、イエス・キリストの死と復活を中心に、罪から人類を救済する神による全き働きを指します。アダムとエバの堕落によって失われた楽園を取り戻すため、神は人類と万物を新たにしようとされました。この救済は、罪という束縛からの解放、つまり代価を伴う「救い」です。そして、その代価を私たちに代わって支払われたのは、イエス・キリストただ一人です。

救済史の主要テーマ：創造、堕落、そして救い

救済史は大きく3つのテーマに分けられます。まず、神は自身の形象に似た人間を創造しました。しかし、人間は神の言葉に背き、堕落してしまいました。神はこの堕落した人間を救うため、絶え間なく救済の歴史を進めてこられました。この創造、堕落、そして救済の歴史を繋ぐのが、神と人との「契約」です。

契約：救済史を繋ぐ鎖

神と人との契約は、時代を超えて救済史を繋ぐ重要な要素です。ヘブライ語で「ベリト」と呼ばれる契約は、当事者間の合意を表しますが、神と人との契約においては、神の一方的、主権的なものとなります。神は創造主であり、人間は被造物であるため、対等な立場ではないからです。契約は、神が約束を守らなかった場合の罰を意味する獣を裂く儀式に象徴されるように、神と人間の双方にとって重大な誓約です。

経綸：神の宇宙的管理

「経綸」とは、神が宇宙の主人として、人類の救済のために地上と教会を導く、全宇宙に及ぶ管理を意味します。これは、神が人類の救済のために、宇宙万物の運行、秩序、時間を最適に調整し、計画的に支配する過程全体を指します。

摂理：神の介入

神は契約を永遠に成就させるため、救済史の中で具体的な活動を行います。それが「摂理」です。摂理とは、神が定めた目的を果たすための継続的な働き、つまり、神が自身の計画を実行していく過程そのものです。罪深い人間を救済するという神の計画は、この世の出来事全てに主権的に介入し、積極的に働くことで実現されていきます。

聖書解釈の歴史：予型論と象徴

救済史的に聖書を理解するには、予型と象徴を正しく理解することが重要です。ルターやカルヴァンは、聖書の正しい予型論的解釈を主張しました。ヨーハン・ホーフマンは、聖書の機械的な解釈に異議を唱え、文法的・歴史的解釈に加え、神学的解釈の必要性を主張しました。これは、聖書に一貫性と明確な目的があると仮定するものです。1939年、L・ゴッペルトの『テュポス』は、旧約の人物、出来事、制度は新約で成就されるべき事柄の預言であると論じ、大きな影響を与えました。

聖書の歴史：旧約と新約

旧約聖書では、創造と堕落から始まる創世記1章～11章を序章とし、アブラハムを祖とするイスラエルの歴史、そしてモーセによる出エジプトを重要な出来事として扱います。出エジプトの歴史は、救済の原型として繰り返し登場します。新約聖書では、キリストの受肉、十字架、復活、昇天、初代教会の誕生という新しいイスラエルの歴史が描かれ、終末における審判と救いの完成を目指して展開していきます。

参考文献

富井悠夫「救済史」『新キリスト教辞典』いのちのことば社、1991年
パク・ユンシク 救済史シリーズ (イーグレープ出版、睴宣出版)
* 救済史シリーズ ホームページ (http://kyusaishi.com)

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