教来石宿

教来石宿について

教来石宿（きょうらいししゅく）は、山梨県北杜市に位置する旧甲州街道沿いの宿場町で、江戸日本橋から数えて41番目の宿場です。教来石宿は、この地域で最も西にあり、宿場の全長はおおよそ4町30間、宿内には144軒の家屋が立ち並び、人口は684人に及びました。宿の主な施設には本陣が1軒、脇本陣が2軒、さらには旅籠が7軒あり、それぞれ規模が大中小に分かれていました。

宿場の位置と特徴

教来石宿は流川を渡った江戸方から北側に広がっており、宿の内外では賑わいを見せていました。宿場に関する古い記録によれば、本宿の下教来石宿と加宿の上教来石宿が存在し、これらは別々の機能や役割を持っていました。現在の北杜市白州町下教来石にある「明治天皇御小休所跡」碑は、教来石宿の中心となっていた河西家本陣の跡地を記念するもので、本陣は広さ120坪を誇っていました。

また、教来石宿は江戸時代中期まで、釜無川河原から採取された鳳凰石を使用して硯などの石細工を行っていたことでも知られています。これにより、宿場としての経済活動も活発であり、周辺の商人や旅人を引き寄せました。

歴史的な名所

宿場内には歴史的な名所や遺跡が点在しており、上教来石地域には山口素堂の出生地跡や、かつての口留番所である山口口留番所の跡地が存在します。宿の南部、現在の北杜市白州町鳥原には、教来石姓を名乗っていた教来石民部（馬場信春）の館跡も残されています。これらの遺跡は、宿場が持つ歴史的重要性を物語っており、訪れる人々に当時の生活を感じさせる場所となっています。

地名の由来

教来石という名前の由来は、『甲駿道中之記』に記載された伝説にあります。この文献によると、村の西側に「教来石」と呼ばれる高さ約7尺、幅約2間の巨石があり、これは村名の起こりとされています。伝説によれば、日本武尊が甲府の酒折宮にいる際、この地を訪れ、この石の上で休息したことから、村人たちが「経（へ）て来（こ）石」と呼ぶようになりました。このように教来石の名称は、地域の歴史と文化に密接に結びついています。

山口口留番所

教来石宿は、甲斐国に存在した24の口留番所の一つ、山口口留番所が設けられていたため、宿場の役目は単なる宿泊の提供に留まらず、国境の監視や通行人への徴税といった警備の役割も担っていました。これは教来石宿が交通網の要所としての役割を持っていたことを示しています。宿場の周囲には川や山々が広がる自然環境もあり、宿を訪れる旅人にとっては、休息の場となったことでしょう。これらの歴史的背景と地域文化を足掛かりに、教来石宿は今なお多くの訪問者に愛され続けています。

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