文豪

文豪（ぶんごう）

文豪は、日本電気（NEC）が開発・販売した日本語ワードプロセッサ専用機です。この機器は、文豪という名を冠したシリーズで、特にパーソナルユースとビジネスユースに特化しています。1980年代から1990年代にかけて、日本国内のコンピュータ市場で重要な役割を果たしましたが、2000年に製品の出荷が終了するまで、その歴史が続きました。

概要と機種の特徴

文豪シリーズは、特に東芝のRupo、富士通のOASYS、シャープの書院といった他の主要ワープロ機と並ぶ製品群です。NECの他のパーソナルコンピュータ、特にPC-9800シリーズやN5200シリーズとはデータの互換性があり、ユーザーはこれらをセカンドマシンとして容易に利用できる魅力がありました。

文豪には、パーソナルユース向けの「文豪ミニ」や、ビジネス用途の「文豪NWPシリーズ」があり、デスクトップタイプからノートブック型まで、多様なモデルがリリースされています。シリーズの最後の機種は、1999年に発売された文豪JX-750/730/720であり、ブランドの終焉を象徴しています。

特に注目すべきは、開発に著名な作家の安部公房が関与していたことです。彼は自身の執筆活動の中でも文豪シリーズを用いており、彼の遺作もこの機で保存されているというエピソードは、文豪シリーズの一部としての価値を高めています。

系譜

文豪シリーズは主にパーソナルユースとビジネスユースの2つに分類されます。前者はNECの初のパーソナルワープロであるPWP-100を基にした製品群で、「文豪ミニ」や「JXシリーズ」といったモデルが含まれます。後者は、NEC初の日本語ワープロであるNWP-20を源とする製品群です。文豪DPシリーズは、「ドキュメント・プロセッサ」という新たな製品カテゴリとして位置づけられています。

ビジネス向けモデル

文豪のビジネス向けモデルには、例えば1980年5月にリリースされたNWP-20があり、これは文豪シリーズの最初の機種です。以降も、文豪3Vや5N、文豪7D、さらには文豪10Nや11Nと多様なモデルが市場に登場しました。中でも、1985年に発売された文豪21Nは、高性能プリンターを搭載し、特に印刷能力において評価されました。

パーソナルユース向けモデル

パーソナルユース向けモデルには、1984年に発売されたPWP-100があり、このモデルが後の文豪ミニシリーズの基盤となっています。文豪ミニ3やミニ5は、ポータブルタイプやラップトップタイプとして大変人気を博し、また、1995年に導入された文豪JXシリーズは、さらに進化したモデルとして注目されました。

特に文豪ミニ5シリーズでは、液晶画面の性能向上やプリンタと連携する機能の充実が見られ、青年層やビジネスプロフェッショナルに重宝されました。

アプリケーションと互換性

文豪シリーズ向けには、様々なアプリケーションソフトが開発され、ゲームからユーティリティまで幅広い選択肢が提供されました。特に『ワードスター』や『住所録』などのソフトウェアは、機能性を高めつつ、ユーザーにとって魅力的なサポート役となりました。

これら文豪シリーズは、一時代を築いた製品であることは間違いなく、特に日本のワードプロセッサ市場においてその存在は忘れられないものです。現在ではその使用が終息したとはいえ、文豪シリーズが多くのユーザーに記憶に刻まれている事実は、今なお色褪せることがありません。

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