斎藤一雄

斎藤 一雄（さいとう かずお）

日本の著名な造園学者。1919年に生まれ、2011年にその生涯を閉じた。姓については、「斉藤」の表記も確認されている。

来歴と業績

氏の学術的なキャリアは、千葉大学園芸学部において教授として教鞭を執ることから始まった。特に、同大学に設置された庭園デザイン研究室では、初代教授としてその礎を築いた。

研究活動においては、環境科学的な視点を造園学に取り入れた点が特筆される。1975年には、京都大学より農学博士号を授与された。この時の研究テーマは、「自然の保全原単位としての水系環境系に関する研究」というものであり、広範なスケールでの環境保全のあり方を探求するものであった。

また、氏の提唱した概念は、後続の造園家や研究者にも影響を与えている。例えば、造園家の田瀬理夫氏は、斎藤氏が1979年に『トータルランドスケープ』という概念を提唱したことを指摘している。これは、個別の庭園設計に留まらず、より広がりを持った地域や環境全体を視野に入れた景観計画の重要性を示すものと考えられる。

研究室運営においても活発であり、1992年時点では「にわふぉるむ研究室」の代表を務めていた記録が残っている。

長年の研究と実践における多大な功績は高く評価され、平成9年度（1997年）には、造園分野で最も権威のある賞の一つである日本造園学会賞上原敬二賞を受賞している。

学術的な活動と並行して、実際の造園設計にも携わった。特に注目されるのは、ゴルフ場の造園作品である。ただし、これはコースのレイアウト設計ではなく、景観や環境デザインとしての造園を指す。手がけたコースとしては、平成倶楽部やレイク相模カントリークラブなどが知られている。また、氏が教鞭を執った千葉大学園芸学部のキャンパス敷地内にも、氏が設計した庭園が現存しており、現在も多くの人々に親しまれている。

主な著書

氏の思想や研究成果は、多くの著作として発表されている。代表的なものを以下に挙げる。

『科学史大系』 (菅井準一等編、中教、1952年): 分担執筆として参加している。
『栽培の実際と理論 新しい農民の生物読本』 (新興出版社、1955年): 農業技術に関する著作。
『造園技術 設計・施工』 (関口鍈太郎編著、養賢堂、1961年): 造園の実務技術に関する共著。
『造園実務集成 庭園篇 1 庭園設計の実際』 (技報堂出版、1972年): 庭園設計の実践的な内容をまとめた単著。
『緑化土木 環境系の形成技術として』 (編著、森北出版、1979年): 環境工学的な視点から緑化技術を論じた編著書。
『環境システムの計画 接点空間 (インターフェイス) をさぐる』 (斉藤一雄先生退官記念事業会、1985年): 退官記念として刊行された著作。
『緑の環境デザイン 庭から国立公園まで』 (斉藤一雄・田畑貞寿編著、日本放送出版協会、1985年): 庭園から大規模な国立公園まで、様々なスケールの緑地環境デザインについて論じた編著。

これらの著作は、氏の幅広い関心と、理論から実践まで網羅する造園学への貢献を示している。

参考文献

入力情報に基づき記述。

（注：本記事は提供された情報に基づき記述しており、それ以上の詳細や解釈は含まれていません。）

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