田畑貞寿

田畑貞寿について

田畑貞寿（たばた さだとし、1931年 - ）は、日本の造園家、ランドスケープエコロジスト、都市計画家として知られています。千葉大学名誉教授、上野学園大学教授を歴任し、教育者としても多くの人材を育成しました。長野県出身で、工学博士の学位を有しています。

経歴

1954年に千葉大学園芸学部造園学科を卒業後、東京都庁を経て日本住宅公団に勤務。本城和彦氏が主導する団地オープンスペース計画に携わり、新たな団地設計を模索しました。1957年から1959年には、北村信正氏が主宰する「遊び場研究会」に参加し、遊び場のデザインに関する研究を行いました。

1958年には、池原謙一郎氏、伊藤邦衛氏、石川岩雄氏、清水友雄氏、中島健氏と共に「庭のデザイナー6人展」を銀座で開催。自身の造園作品を展示し、その才能を広く知らしめました。また、前野淳一郎氏らが率いるスペースコンサルタンツの造園設計業務にも協力しました。

1963年からは、パキスタン・イスラマバードの首都建設計画に参加し、首都圏域のランドスケーププラン作成、ナショナルパークの計画設計、現地計画指導に尽力しました。1967年には、イスラマバードでの経験を活かし、港北ニュータウン基本構想においてグリーンマトリックス手法を提案し、高山英華委員会で採用されました。

1965年より東洋大学で非常勤講師として教鞭を執り、1968年には東京大学工学部都市工学科特別研究員として、横山光雄氏、高山英華氏、沼田真氏らに師事。地域や国土計画の基礎としての景相生態学的研究を進めました。1971年には、東京大学より工学博士の学位を授与されています。

1970年、地域環境研究室を主宰（後に株式会社タム地域環境研究所を設立）。1973年から1998年まで、千葉大学教授として教鞭を執り、多くの学生を育成しました。1991年には日本造園学会会長、1996年には農村計画学会副会長、千葉大学大学院自然科学研究科長を歴任。1998年からは千葉大学名誉教授、上野学園大学教授となりました。

2000年からは（財）日本自然保護協会の理事長を務め、2003年には千葉県環境審議会会長に就任するなど、要職を歴任しました。

受賞歴

田畑貞寿は、その業績が広く認められ、数々の賞を受賞しています。主なものとして、1973年日本造園学会学会賞、1982年日本都市計画学会論文賞、1987年日本公園緑地協会北村賞、1991年千葉県教育文化功労賞、1998年日本造園学会上原敬二賞、2007年日本都市計画学会功績賞、2008年千葉県環境保全功労賞、そして2011年には内閣府より第5回みどりの学術賞を受賞しています。

主な著書

田畑貞寿は、多くの著作を通じて、自身の研究成果や思想を社会に発信してきました。主な著書には以下のようなものがあります。

『緑の環境デザイン―庭から国立公園まで』(NHKブックスカラー版 共著 1985年)
『緑と地域計画〈1〉都市化と緑被地構造』(古今書院 2000年)
『住環境の理論と設計―新住宅地計画』(鹿島出版会共著 1969年)
『都市のグリーンマトリックス』(鹿島出版会 1979年)
『緑と居住環境』(古今書院 共著 1984年)
『現代のにわ』(彰国社 共著 1960年)
『現代建築と都市』(彰国社 共著 1962年)
『緑の環境デザイン』(日本放送出版協会 編著 1985年)
『緑資産と環境デザイン論』(技報堂出版 編著 1990年)
『乾燥・半乾燥地域の都市化と緑地生態系の動態に関する研究』(編著 1991年)
『造園の事典』(編著 朝倉書店 1995年)
『市民ランドスケープの創造』(環境コミュニケーションズ 編著 1996年)
『市民ランドスケープの展開』(環境コミュニケーションズ 編著 2006年)
『緑と地域計画〈2〉緑被地機能と評価』(古今書院 2011年)
『グリーンセラピー読本』(技報堂編著 2011年)
『緑と地域計画〈3〉都市周辺部の緑被地の保全』(古今書院 2013年)

これらの著書を通じて、田畑貞寿は、造園学、ランドスケープエコロジー、都市計画の分野に多大な貢献をしてきました。

もう一度検索