斎藤宗次郎

斎藤宗次郎の生涯と影響

斎藤宗次郎（さいとう そうじろう、1877年2月20日 - 1968年1月2日）は、岩手県の花巻市に生まれた無教会主義のキリスト教徒です。内村鑑三の熱心な弟子として知られ、彼の死を看取るまで献身的に支え続けました。彼はまた、詩「雨ニモマケズ」のモデルともされています。ここでは、彼の生涯や内村鑑三との関係、宮沢賢治との交流について詳しく紹介します。

初期の生い立ち

斎藤は禅宗東光寺の住職の子として生まれ、岩手師範学校を卒業しました。学生時代には反キリスト教的な書物にも触れていましたが、教職につくと突然の入院を機に聖書に対する興味が深まりました。この頃から内村鑑三の著作の愛読者となり、特に『基督信徒の慰め』や『求安録』に感銘を受けました。

内村鑑三との交流

日露戦争の最中、斎藤は内村の影響を受けて非戦論を真剣に唱えるようになります。「納税拒否、徴兵忌避も辞せず」との決意を固めましたが、これが災いし県当局から注視され、小学校の教員職を失ってしまいます。その後は新聞取次店を営むことに。清貧と信仰の生活を送り、画家の中村不折に「花巻のトルストイ」と称えられるほどの影響力を持っていました。内村が晩年に「弟子を持つの不幸」という文を残したにもかかわらず、斎藤は彼に忠誠を尽くし続けました。内村が1930年に亡くなった際には、近くで看病を行っていました。

宮沢賢治との交流

同じく花巻出身の宮沢賢治とも宗派を超えた交流がありました。1924年の日記には、賢治が勤めていた花巻農学校に訪れて新聞の集金をする斎藤の姿が描かれています。賢治は斎藤を招き入れ、共に音楽を楽しんだり、詩のゲラ刷りを見せたりする場面が記されています。特に、賢治の詩「永訣の朝」には斎藤をもじった「加藤宗二郎」というキャラクターが登場することもあります。一部の研究者は斎藤が「雨ニモマケズ」のモデルだと考えていますが、賢治研究者の栗原敦は、斎藤の信仰の強さと独自性を無視する危険性を指摘しています。

最晩年と著作

1927年に上京し、晩年は東京都で過ごしました。1968年に90歳で亡くなった際は、小平霊園に眠っています。著書には「花巻非戦論事件における内村鑑三先生の教訓」「ある日の内村鑑三先生」「二荊自叙伝」などがあります。

斎藤宗次郎は、信仰と忠誠心に満ちた生涯を送る中で、日本のキリスト教界に深い痕跡を残しました。彼の生涯は、内村鑑三の教えや宮沢賢治との交流の中で、多くの人々に影響を与え続けています。

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