斎藤理生

斎藤理生氏は、1975年6月5日に名古屋市で生まれた日本の国文学者です。現在は大阪大学大学院人文学研究科の教授として、教鞭を執りながら精力的に研究活動を行っています。

氏の学歴は、1994年に大阪府立豊中高等学校を卒業した後、大阪大学文学部文学科の国文学専攻に進学しました。高校・大学時代は、学業と並行してラグビー部に所属していたというユニークな経歴をお持ちです。1998年3月に大阪大学を卒業後、さらに学問を深めるため、同大学院文学研究科の文化表現論博士課程へ進学しました。そして2004年3月、「太宰治作品の＜笑い＞」と題した研究で、大阪大学より文学博士の学位を取得しています。

研究者としてのキャリアは、2006年4月に群馬大学教育学部国語教育講座の講師として始まりました。2008年10月には同准教授に昇任し、教育・研究に従事しました。2014年4月には、母校である大阪大学に戻り、大学院文学研究科の准教授に着任。その後、2021年4月に同教授に昇任し、2022年4月からは大阪大学大学院人文学研究科の教授（日本学専攻）として、現代の文学研究を牽引しています。

斎藤氏の研究の中心テーマは、日本の近現代文学です。特に、昭和を代表する作家である太宰治と織田作之助について深く掘り下げた研究で知られています。太宰治に関しては、博士論文で扱った「笑い」という切り口から作品を分析し、その多層的な意味合いを明らかにしました。織田作之助についても、作品論に加え、未紹介だった資料の発掘なども行うなど、実証的なアプローチを重視しています。研究対象は特定の作家にとどまらず、日本の近現代小説全般へと広がりを見せています。

その研究成果は、多くの著書としてまとめられています。単著としては、太宰治の笑いに焦点を当てた『太宰治の小説の＜笑い＞』（双文社出版、2013年）や、織田作之助という作家の全体像を描き出した『小説家、織田作之助』（阪大リーブル71、大阪大学出版会、2020年）があります。これらの著書を通じて、両作家の新たな魅力を提示しています。

また、複数の編著にも携わっています。太宰治研究の第一人者である安藤宏氏との共編で、『新世紀 太宰治』（双文社出版、2009年）や、単行本と検閲の関係を探る『太宰治 単行本にたどる検閲の影』（秀明大学出版会、2020年）を刊行。さらに、織田作之助の評論を厳選した『「可能性の文学」への道 織田作之助評論選』（本の泉社、2020年）を編纂するなど、特定作家の作品・資料の整理・紹介にも貢献しています。加えて、近現代文学を専攻する学生向けの学習指南書である『卒業論文マニュアル 日本近現代文学編』（ひつじ書房、2022年）を他の研究者と共同で編集するなど、後進の育成にも熱心です。

著書以外にも、「阪大近代文学研究」における織田作之助関連の資料紹介や、「新潮」誌に発表された坂口安吾に関する新発見など、学術雑誌や文芸誌での発表も多数あります。大阪大学の研究者総覧で研究業績のリストを確認できるほか、ご自身の研究室ウェブサイトやX（旧Twitter）アカウントでも情報発信を行っており、その活動の広さがうかがえます。

斎藤理生氏は、太宰治や織田作之助といった特定の作家研究を深く追求しつつ、日本の近現代文学という広い視野を持って研究活動を展開しています。その多角的なアプローチと豊富な業績は、今後の文学研究においても重要な貢献を果たすことでしょう。

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