ひつじ書房

株式会社ひつじ書房：言語学研究を支える出版社

株式会社ひつじ書房は、1990年に創業された日本の学術出版社です。東京都文京区に拠点を置き、言語学、日本語学を中心とした専門性の高い書籍を数多く世に送り出しています。同名の児童書店や、かつて存在した羊書房とは一切関係ありません。

出版物の特徴

ひつじ書房の出版活動は、言語に関する研究に深く特化しています。日本語学、言語学の分野においては、質の高い研究書を多数刊行し、その実績は高く評価されています。特に、言語学分野における権威ある賞である新村出賞を4年連続で受賞するなど、その専門性と高い出版水準は業界でも認められています。

日本語教育や英語教育に関する研究書も積極的に刊行しており、日本語の教科書などもその一環として出版されています。また、英語による学術書も多く取り扱っており、欧米での学術書の流通にも力を入れています。

研究者支援の一環として、研究者向けの「研究書出版」相談のためのオープンオフィスも開催しており、出版に関する様々な相談に対応しています。

創業者：松本功氏

ひつじ書房の創業者である松本功氏は、国語学・国文学の学術出版社であるおうふうで編集、制作、営業部門での豊富な経験を積んだ後、1990年に独立してひつじ書房を設立しました。おうふう時代には、『ケーススタディ日本文法』、『日本語概説』、『日本語教授法』などの企画に携わった実績を持ちます。

松本氏は、『ルネッサンスパブリッシャー宣言』、『税金を使う図書館から税金を作る図書館へ』などの著書も出版しており、ビジネス支援図書館の発起人メンバーの一人でもあります。1998年には、少額決済システム（投げ銭システム）の必要性をいち早く提唱した人物としても知られています。言語学出版社フォーラムの発起人としても活動し、朝日新聞の「ひと欄」で取り上げられるなど、出版業界に多大な影響を与えています。

また、青空文庫の最初のバナー広告出稿社としても知られる一方、機器メーカーの閲覧端末への依存を前提とした従来型の「電子書籍」には批判的な立場を取っています。

沿革

ひつじ書房は、1990年の創業以来、言語学研究の発展に貢献するべく、数々のシリーズを刊行してきました。

1991年：日本語研究叢書刊行開始（1巻：『日本語動詞の諸相』村木新次郎）
1993年：ひつじ研究叢書（言語編）刊行開始（1巻：『方言地理学の展開』徳川宗賢）
1994年：未発選書刊行開始（1巻：『フィクションの機構』中村三春）
1995年：文科系学術出版社として初めてホームページを開設
1998年：株式会社ボイジャーと提携し、T-Timeを書店で発売。言語学出版社フォーラムを設立
2000年：ビジネス支援図書館推進協議会を設立
2005年：有限会社から株式会社へ組織変更
2006年：シリーズ言語学と言語教育、Hituzi Linguistics in English刊行開始
* 2010年：20周年記念事業として「ひつじ意味論講座」「21世紀日本文学ガイドブック」刊行開始

まとめ

株式会社ひつじ書房は、言語学研究に特化した専門出版社として、高い評価と実績を誇ります。創業者松本功氏の理念と、質の高い出版活動は、今後も言語学研究の発展に大きく貢献していくものと期待されます。

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