斎藤秋男

斎藤秋男（さいとう あきお）は、1917年（大正6年）に東京で生まれ、2000年（平成12年）に82歳で生涯を閉じた日本の中国思想学者です。専修大学の名誉教授として、長年にわたり教育と研究に貢献しました。

学歴と軍役

斎藤秋男は、東洋大学文学部中国哲学文学科で中国哲学を学び、1941年（昭和16年）に卒業しました。その後、太平洋戦争の勃発により1942年（昭和17年）から終戦まで兵役に従事し、激動の時代を経験しました。

戦後の活動

戦後は、中国研究所で勤務した後、1950年（昭和25年）に母校である東洋大学の助教授に就任し、教育者としてのキャリアをスタートさせました。1953年（昭和28年）には北海道大学助教授へと転任し、その後、1965年（昭和40年）に専修大学助教授に迎えられました。専修大学では教授に昇格し、教鞭を執る傍ら、1977年（昭和52年）から1982年（昭和57年）にかけて、社団法人・中国研究所の代表理事、のちに理事長を務め、日中関係の発展にも貢献しました。1988年（昭和63年）に専修大学を定年退任し、名誉教授の称号を授与されました。

研究内容と業績

斎藤秋男の専門は中国思想史であり、特に同時代の知識人・教育者である陶行知（とうこうち）に関する研究に力を注ぎました。陶行知は中国の教育改革に尽力した人物であり、斎藤は陶行知の教育思想や実践を深く掘り下げ、その著書を通じて日本に紹介しました。また、斎藤は新中国の児童文学の翻訳にも積極的に取り組み、中国の文化や社会を日本に伝える役割も果たしました。

斎藤は、日中芸術研究会などの団体の役員も務め、戦後の日中友好関係の構築にも尽力しました。その活動は、研究者としての業績にとどまらず、文化交流や国際協力の分野でも大きな貢献をしたと言えるでしょう。

著作

斎藤秋男は、数多くの著書や翻訳を手がけました。以下に主な著作を挙げます。

共編著

『中国の近代教育』（1948年、河出書房）
『教育共和国の先駆者たち 新中国人民教師の群像』（1951年、青銅社）
『中国の子どもと教師』（1953年、明治図書出版）
『中国の国民生活』（1954年、厚文社）
『世界の教育』（1955年、門脇書店）
『集団主義と国民教育 中国教育の課題と実践』（1957年、国土社）
『中国現代教育史』（1962年、国土社）
『社会認識の教育 日本の社会科を考える』（1969年、東洋館出版社）
『ハンドブック中国』（1972年、読売新聞社）

訳書

『女人転身 生まれかわつた新中国の女性』（1952年、東和社）
『中国名作選』（1953年、金子書房）
『書物を焼くの記 日本占領下の上海知識人』（1954年、岩波新書）
『ツバメの大旅行』（1955年、牧書店）
『毛沢東教育論』（1957年、青木文庫）
『民族解放の教育 陶行知』（1961年、明治図書出版）
『同級生ものがたり』（1964年、牧書店）
『このつぎ船の出る港』（1965年、講談社）
『中国の集団主義 少年先鋒隊の組織と教育』（1965年、明治図書出版）
『毛沢東教育論 続』（1966年、青木文庫）
『宝のひょうたん』（1970年、文研出版）
『中国』（1981年、ほるぷ出版）
『ぼくのちびっこガチョウ』（1985年、ひくまの出版）

斎藤秋男は、中国思想史研究における重要な貢献者であり、その業績は今もなお、多くの研究者に参照されています。また、教育者として、そして日中友好に尽力した人物として、その功績は後世に語り継がれるでしょう。

参考資料

* 五十嵐康夫「斎藤秋男」『日本児童文学大事典』（1993年、大日本図書）

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