斎藤義重

斎藤義重（さいとう よししげ）

概要

斎藤義重は1904年5月4日に青森県弘前市で生まれた現代美術家である。彼は多摩美術大学で教授を務め、絵画と彫刻の枠を超えた独自の表現スタイルを追求した。斎藤の作品は戦後の日本現代美術を代表するものであり、特に「もの派」の作家たちに多大な影響を与えた。

生い立ち

斎藤は7人兄弟の次男として育ち、幼少期から美術への興味を抱いていた。彼の父親は陸軍軍人であり、父の転任に伴って栃木県や東京都に住んでいた。少年時代には様々な外国映画や文学に触れ、特に1920年代には絵画から離れ文学に没頭していた。

青年期における芸術の探索

1917年、斎藤は日本中学校に進学し、美術クラブに所属した。父の死を契機に油彩画を制作し、当時の画家や著名な作家の影響を受けながら独自の作風を模索した。1920年代には伝統的な美術教育に疑問を感じ、自らの道を探るようになった。1930年代初頭には構成主義やダダイスムに触れ、美術活動に再び取り組み始めた。

前衛芸術への移行

1930年代の彼は二科展に出品するも、評価を得るには至らなかった。それでも、アヴァンギャルド洋画研究所で抽象的な作品に取り組むことで、独自のスタイルを確立していく。特に「カラカラ」や「トロウッド」シリーズは、彼の代表作となる。

戦中・戦後の生活と影響

彼の作家活動は太平洋戦争によって中断され、戦後しばらくは制作活動が制約されていた。しかし、1949年から本格的に作品制作に再着手。1950年代には個展を開き、国際的にも評価を高めていく。さまざまな展覧会や美術賞の受賞を通じて、国内外で名声を獲得する。

多摩美術大学での教育

1964年には多摩美術大学の教授に就任し、多くの後進に影響を与えた。斎藤の教えを受けた学生の多くは、後に「もの派」として知られる重要な作家となった。彼の教えは、平面と立体の融合や素材の使い方に革新をもたらした。

1970年代から晩年にかけての活動

1970年代には個展や公共空間の作品制作を通じて更なる創作活動を展開。1980年代以降は新しい表現形式に挑戦し続け、晩年まで積極的な創作活動を行った。2001年6月、心不全で逝去した。

まとめ

斎藤義重はその革新的な表現と教育活動を通じて、多くの美術家や観衆に深い影響を与えた。彼の作品は今なお多くの人々に愛され、現代美術の重要な一ページを刻んでいる。

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