断片集 (アリストテレス)

断片集（だんぺんしゅう）

アリストテレスの著作の一部や、それに関する他者の言及を集めた『断片集』は、彼の思想や哲学を理解するための貴重な資料です。この書物の存在意義は、アリストテレスが残した多くの著作の結実を示すとともに、彼の学問がどれほど広範に影響を与えてきたかを物語っています。

歴史的背景

『断片集』の収集や研究は、19世紀後半から活発に行われるようになりました。当初の探求者は、ドイツの古典文献学者ヴァレンティン・ローゼでした。彼は1863年に初の固定した形の断片集『Aristoteles Pseudepigraphus』を発表し、1870年には『Aristotelis qui ferebantur librorum fragmenta』を出版、改訂版も1886年に出ています。

その後、1934年にはリヒャルト・ワルツァーが校訂した『Aristotelis Dialogorum Fragmenta』が登場し、1955年にはウィリアム・デイヴィッド・ロスによる『Fragmenta Selecta』がオクスフォード古典叢書から出版されました。これらの努力によって、アリストテレスの全集が形成されるようになり、断片集もその一部として認知されています。

今日では、『断片集』に収められた著作の一部には以下のようなものがあります。

• - 『アテナイ人の国制』
• - 『グリュロス、あるいは弁論術について』
• - 『エウデモス、あるいは魂について』
• - 『恋愛論』
• - 『哲学のすすめ（プロトレプティコス）』

このように、アリストテレスのさまざまなテーマに関する洞察が含まれています。そのため、哲学や倫理、政治学に関する重要な文献として評価されています。

日本語訳の進展

日本では、アリストテレスの著作をまとめた全集の中に『断片集』が収録されており、特に岩波書店からは1972年に初版が発行されました。松本厚と宮内璋による翻訳版がその内容を伝え、日本語を話す読者にアリストテレスの思想の一端を触れる機会を提供しています。その後、2014年には國方栄二による新版が出版され、さらに充実した内容を提供しています。

まとめ

アリストテレスの『断片集』は、彼の哲学や思想を探求する上で欠かせない資料です。多くの著作が散逸した中で、残された断片を通じて私たちは彼の思想を垣間見ることができます。今後も、研究者たちはこの貴重な資料の解明に努めていくことでしょう。

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