新しい歴史教科書をつくる会事務所放火事件

新しい歴史教科書をつくる会事務所放火事件

新しい歴史教科書をつくる会事務所放火事件は、2001年8月7日に東京都文京区で発生した放火テロ事件です。この事件は、日本の新左翼の一派、革労協反主流派（赤砦派）によって引き起こされました。

事件の概要

事件が発生したのは、東京都文京区本郷2丁目にある3階建てビルの1階部分です。火災が発生した当時、このビルの1階には、新しい歴史教科書をつくる会の事務所がありました。事務所内で爆発音が響き、瞬く間に火の手が上がりましたが、幸いにも付近の住民や消防の迅速な対応により、火はすぐに消し止められました。その結果、窓の損傷程度で済んだものの、周辺は雑居ビルや住宅が密集している地域であり、もし火が広がっていたら大惨事につながる可能性があったのです。

事件の調査を進める中で、警察は、時限式発火装置や可燃性の液体が入ったポリタンクが現場にあったことを発見しました。このことから、警視庁公安部は事件を新左翼によるテロ行為として特定しました。

犯行の背景

事件の発生から数日後、8月10日に「革命軍」を名乗る者が、複数の報道機関に犯行声明文を郵送しました。この声明文は、事件が革労協反主流派によって行われたことを示唆する内容でした。公安部は、この文書を元に事件の背後にある組織と目的を洗い出し、さらなる捜査を進めました。

社会の反響

新しい歴史教科書をつくる会が推進していた新しい歴史教科書は、内容を巡って賛否が分かれており、特に戦争に関する記述などが論争を呼んでいました。この事件は、歴史教科書問題に関する国民の関心を一層高めることになり、教科書の記述についての議論も再燃しました。放火事件は表現の自由や教育問題、さらにはテロ行為に対する社会の意識に影響を与えました。

今後の課題

このような事件は、教育や歴史認識を巡る対立が暴力に発展する危険性を示唆しています。社会全体が歴史教育のあり方や、言論の自由を守る重要性について真剣に考える必要があります。今後も引き続き、過去の出来事とその教訓を踏まえ、より建設的な議論を展開することが求められています。

参考文献

• - 『読売新聞』2001年8月8日朝刊・夕刊、8月10日夕刊

関連項目

• - 新左翼
• - 歴史教科書問題

この事件は、一方的な意見や信念が暴力によって表現されることの危険性を再認識させるものであり、教訓として記憶されるべきです。

もう一度検索