新しい歴史教科書をつくる会

新しい歴史教科書をつくる会の概要

「新しい歴史教科書をつくる会」は、1997年に設立された日本の社会運動団体です。設立の目的は、既存の歴史教科書に対する強い批判から端を発し、自虐的な歴史観に依らない新たな歴史教育を実現することです。この団体は、特に日本の戦後史に関する教科書記述について問題視し、自由主義史観に基づく教科書の作成を進めています。

発起の経緯

この会の発足にあたって、主要な役割を果たしたのは藤岡信勝です。藤岡は、湾岸戦争以前までは日本共産党に所属していましたが、冷戦終結を契機に保守的な歴史観の必要性に気づき、「自由主義史観」を提唱します。1996年、藤岡は自由主義史観研究会を設立し、「教科書が教えない歴史」と題して歴史の問題点を指摘する連載を始めました。

その後、文部省が中学校の歴史教科書検定を発表し、従軍慰安婦について書かれている教科書が合格したことに対し、反発が強まりました。藤岡はこれに抗議し、同年12月には「新しい歴史教科書をつくる会」の設立を発表しました。会の結成記者会見には、当時なかなかの著名人が参加しました。

教科書とその批判

つくる会は、従来の教科書が「自虐史観」と呼ばれる日本を貶める視点に支配されていると批判し、これを根本から覆す教科書を作成することを目指しました。2001年と2005年には扶桑社から中学生向けの新しい歴史教科書を出版し、その中で従来の教科書の問題点を修正しました。

特に、つくる会の教科書では、戦争の記述方法にも配慮しつつ、日本の近現代史を理論的に捉え直すことを試みました。ただし、この教科書については、戦後の歴史的出来事に関する解釈について賛否が分かれており、その他の団体や市民から強い反対運動も受けています。

反対運動と問題視

つくる会に対する反対運動の主な担い手は教職員組合や市民団体であり、特に歴史学者や教育委員会からは、教育の公平性を確保しなければならないという意見が多く見られます。また、「つくる会」の教科書は、時に歴史修正主義的な立場を追求しているとの批判もあります。

多くの反対派は、従軍慰安婦の問題や南京大虐殺といった重大な歴史事実が適切に記述されていないと指摘し、教育現場での不採択運動を行っています。これらの動きに対し、つくる会はその意義を主張し続けています。

まとめ

新しい歴史教科書をつくる会は、日本の教育現場において歴史教育の理念を大きく変えようとする運動の一環です。教科書内容の問題を通じて、国民の教育における自信や誇りを取り戻すことを目指し、これからも活動を続けていくことでしょう。これにより、歴史教育の将来において、より多様な視点が反映されることが期待されます。

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