新しい相棒

新しい相棒（Cat's in the Bag...）

アメリカ合衆国の著名なテレビドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』の第2話として位置づけられるのが、「新しい相棒」（原題: "Cat's in the Bag...")です。このエピソードは、シリーズの生みの親であるヴィンス・ギリガンが脚本を手がけ、アダム・バーンスタインが監督を務めました。本国アメリカおよびカナダでは、2008年1月27日にAMCで初放送されました。

あらすじ

前話の出来事の後、ウォルター・ホワイトとジェシー・ピンクマンは、ジェシーの叔母の家へとキャンピングカー（RV）で向かいます。この家を当面の隠れ場所とすることにした彼らは、RV内にあった遺体を確認します。そこで、エミリオが完全に死亡している一方、クレイジー・エイトは奇跡的にまだ息があることが判明します。

生存していたクレイジー・エイトを前に、二人は彼を地下室に閉じ込めることを決断。自転車のロックを用いて、彼の首を柱に固定してしまいます。ウォルターは、エミリオの遺体を完全に消滅させるために、強力なフッ化水素酸の使用を提案します。残された課題は、エミリオの死体処理とクレイジー・エイトの始末です。二人はどちらがどちらを担当するかをコインの裏表で決めます。その結果、ジェシーが死体処理、ウォルターがクレイジー・エイトの「処理」を担当することになります。

ウォルターは、死体処理のためにフッ化水素酸に耐えうるポリエチレン製の容器を用意するようジェシーに指示しますが、ジェシーは適切な大きさの容器を見つけられません。一方、ウォルターは地下室でクレイジー・エイトを窒息死させようと試みますが、結局実行に移すことはできません。代わりに、水とサンドイッチ、そして身づくろいのための品々を彼に与えます。ジェシーが帰宅すると、ウォルターはクレイジー・エイトの命をあと一日だけ延ばすことを告げます。

物語の別の場所では、ウォルターの妻であるスカイラーが、夫が何かを隠しているのではないかと疑念を深めていきます。オンラインでジェシーの情報を突き止めた彼女は、ウォルターを追及。ウォルターはジェシーからマリワナを購入しているのだと嘘をついてその場をしのぎます。スカイラーは単身ジェシーの家を訪れます。そこで彼女は、自身の弟が麻薬取締局（DEA）の捜査官であることを明かし、ウォルターにマリワナを売らないようジェシーに警告します。しかし、彼女は家の中で行われているエミリオの死体処理には全く気づきません。

ウォルターの指示したプラスチック容器を見つけられなかったジェシーは、誤って2階のバスタブを使って死体を溶かすことにします。しかし、フッ化水素酸はバスタブを構成するセラミックや金属も溶かし、結果としてバスタブ全体が破壊され、天井が崩落。赤い液体と崩れた肉塊が階下へと落下するという凄惨な事態を引き起こします。ウォルターはジェシーに対し、フッ化水素酸がプラスチック以外のものを腐食させる性質を持っていることを改めて説明します。

エピソードの終盤では、砂漠で遊んでいた二人のネイティブアメリカンの子供が、ウォルターが以前捨てていったガスマスクを発見し、一人の女の子がそれを被るシーンで締めくくられます。

製作背景

本エピソードは、シリーズの脚本家チームの中心人物であるヴィンス・ギリガンが執筆を担当し、アダム・バーンスタインが監督として映像化しました。

批評家の評価

「新しい相棒」は、放送後に批評家から概ね高い評価を獲得しました。IGNのレビュアー、セス・アミティンは10点満点中9.6点を与え、「奇妙ながらも、主要な3人のキャラクター間に強烈な化学反応が生まれている。彼らはまるでパズルのようで、そのぎざぎざした端は一見噛み合わないように見えるが、不思議とうまく収まっている」と評しました。また、『A.V.クラブ』のダナ・ボウマンは「A-」の評価を下し、「前週の素晴らしい初回を見終えたとき、『ここからは下り坂になるだろう』と思った。しかし、このエピソードが初回の心理的なトーンを見事に維持していることに感銘を受けた」と述べています。

原題の由来

エピソードの原題"Cat's in the Bag..."は、1957年の映画『成功の甘き香り』に登場する有名なセリフから引用されています。作中で、あるキャラクターが問題を解決したことを報告する際に使う「The cat's in the bag and the bag's in the river.（猫は袋の中、袋は川の中）」というフレーズの一部です。これは、ウォルターとジェシーがクレイジー・エイトを捕らえ、地下室に監禁した状況を暗喩していると考えられます。

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