新ゴーマニズム宣言スペシャル・台湾論

作品概要

『新ゴーマニズム宣言スペシャル・台湾論』は、漫画家・小林よしのり氏が2000年に発表した作品です。この作品は、日本の台湾統治時代を肯定的に評価し、その後の国民党による支配を批判的に描いています。2001年には中国語版も出版され、台湾社会に大きな波紋を広げました。

内容

この漫画は、日本の台湾統治を肯定的に捉え、インフラ整備や教育の普及など、台湾の発展に貢献した側面を強調しています。一方で、戦後の台湾を支配した蔣介石率いる国民党の圧政、特に言論統制や弾圧を批判的に描いています。このため、台湾では様々な反応が引き起こされました。

中国語版の反響

中国語版『台灣論・新傲骨精神』は、台湾で大きな話題となり、ベストセラーとなりました。しかし、内容は台湾独立を支持し、日本の統治時代を肯定、国民党を批判するものであったため、台湾社会に賛否両論の議論を引き起こしました。特に、外省人を中心とした層からは強い反発があり、不買運動や抗議活動、さらには焚書といった事態にまで発展しました。

中国政府もこの問題を注視しており、中国高官が日本の国会議員に対し、この作品の発禁処分を要求する場面もありました。

台湾内での評価と批判

日本の統治時代を経験した本省人の高齢者層からは、肯定的な評価が多く、司馬遼太郎の『台湾紀行』と比較する声も上がりました。しかし、外省人からは、激しい批判があり、小林氏と食事をした人々に対する糾弾も行われました。

また、台湾の立法院では、この作品を巡り、議員が激しく追及される事態も発生しました。この問題は、日本の慰安婦支援団体が台湾に渡航するなど、さらに複雑化し、小林氏の台湾への入国禁止措置につながりました。

小林氏の入国禁止と解除

2001年3月、台湾内政部は小林氏の入国を禁止しました。これは、『台湾論』の内容が台湾の利益や公共の秩序を害する恐れがあるという判断によるものでした。この決定に対し、台湾国内では、民主化に逆行するとの批判が高まりました。当時の中華民国総統であった陳水扁氏や総統府国策顧問であった金美齢氏らが抗議声明を発表し、騒動は沈静化に向かいました。また、金美齢氏はテレビ討論で批判者たちと議論し、作品の一部だけを切り取って批判していることを指摘しました。その後、同年3月23日に入国禁止処分は解除されました。

その後、小林氏は台湾独立派から続編を期待されましたが、他国の行く末を左右する可能性を考慮し、続編の制作には至っていません。

関連書籍

この作品に関連する書籍として、以下のようなものがあります。

小林よしのり 『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論』
謝雅梅 『台湾論と日本論-日本に来たら見えてきた「台湾と日本」のこと』
東アジア文史哲ネットワーク編 『“小林よしのり「台湾論」”を超えて-台湾への新しい視座』
小林よしのり&金美齢 『入国拒否-『台湾論』はなぜ焼かれたか』
蔡焜燦 『台湾人と日本精神（リップンチェンシン）-日本人よ胸を張りなさい』
許國雄 『台湾と日本がアジアを救う-光は東方より』

関連人物

この作品に関わる人物として、以下のような方が挙げられます。

李登輝
陳水扁
金美齢
謝雅梅
許文龍
蔡焜燦
黄昭堂
何既明
彭榮次
黄文雄
伊藤潔
林建良
許國雄
鄭春河
若林正丈
西尾幹二
蔣介石
蔣経国
児玉源太郎
後藤新平
明石元二郎
河野洋平
八田与一

その他

保安駅
* 奇美博物館



この作品は、台湾の歴史や政治、そして日台関係を考える上で非常に重要な意味を持っています。

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